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特別展
生誕151年からの鹿子木孟郞
―不倒の油画道―

開催期間会期

泉屋博古館東京(東京・六本木)では、「特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 ―不倒の油画道―」を2026年1月17日(土)から4月5日(日)まで開催いたします。本展覧会は、近代の日本洋画に本格的な写実表現を移植した鹿子木孟郎(かのこぎ・たけしろう)の生誕150年を記念して開催するものです。本展は初期の天彩学舎や不同舎で学んだ素描から、渡仏しフランス古典派の巨匠ローランスに学んだ渡欧作、帰国後の関西美術院や下鴨家塾での活動などを作品により網羅し、生涯の画業を紹介しつつその功績を再考します。

鹿子木孟郞《ノルマンディーの浜》1907年(明治40)泉屋博古館東京寄託

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展覧会概要

このたび、泉屋博古館東京では、特別展「生誕151年からの鹿子木孟郎 ―不倒の油画道―」を開催いたします。
本展覧会は、近代の日本洋画に本格的な写実表現を移植した鹿子木孟郎(かのこぎ・たけしろう)の生誕150年を記念して開催するものです。鹿子木は現在の岡山市に生まれ、はじめ天彩学舎や不同舎で洋画の基礎を学び、のちにフランスへ留学しました。パリでは19世紀フランス・アカデミスムの正統に属し、歴史画の名手として知られたジャン=ポール・ローランスの薫陶を受け、生涯を通じてフランス古典派絵画の写実表現を追究しました。帰国後は、関西美術院や太平洋画会、文部省美術展覧会の中心的な画家として活躍し、近代日本洋画の発展に確かな足跡を残しています。一方で鹿子木は、留学の支援を受けた住友家15代当主・住友春翠に、師ローランスの代表作のほか自作や模写、その他西洋名画を仲介しておさめるなど、住友家と深い交流を結んでいることも見逃せません。
本展は初期の天彩学舎や不同舎で学んだ素描から、渡仏しフランス古典派の巨匠ローランスに学んだ渡欧作、帰国後の関西美術院や下鴨家塾での活動などを作品により網羅し、生涯の画業を紹介しつつその功績を再考します。とくに師ローランスの写実技法の伝播について再検討を行い、近代日本洋画における写実表現の展開をめぐる問題を検証します。


本展のみどころ
1.約四半世紀ぶりの大規模回顧展を開催、鹿子木孟郞の画業の紹介と再考
鹿子木孟郎はフランス・アカデミスムで学んだ正統的なリアリズムを日本へと伝え、その重厚かつ
堅牢な油彩画が高い評価を受けた近代日本洋画の巨匠です。回顧展はこれまで2回開かれていますが、2001年に府中市美術館で開かれた展覧会以降、鹿子木の質の高い作品に触れる機会は限られてきました。本展は東京でも約四半世紀ぶりとなる、本格的な回顧展です。
文部省美術展覧会や太平洋画会の展覧会出品作をはじめ、師ジャン=ポール・ローランスの作品、あるいは今回の調査で発見された新出作品を含む、約130点から鹿子木の画業を紹介し、彼が目指した表現について再評価することを目指します。

2.近代日本洋画における「写実」の意味
弟子の黒田重太郎が回想するように、鹿子木は「正確に物を観、それを再現すること」を最も大切にしていました。確かに鹿子木の作品には、長い時間をかけて対象と向き合い、それを正確に写し取る姿勢が通底しています。一方で鹿子木作品の魅力は、単に物のかたちを正確に捉えるだけではない、本質に迫る「写実」のあり方を示しています。
印象派以前のリアリズムを根幹とする鹿子木の絵画表現は、日本近代洋画の主流となった黒田清輝たちの外光派の表現とは一線を画します。写実表現が見直される昨今の美術界において、鹿子木の作品は一周回って新鮮な驚きと絵画の豊かさに気が付かされます。
本展では多数の不同舎時代の風景スケッチや渡欧期の裸体人物写生など、鹿子木における写実表現の形成と展開をご覧いただきます。

3.パトロン・住友
1900年(明治33) に父を亡くした鹿子木は、不同舎の学友とともに欧米遊学へ出発しました。パリで出会った浅井忠から長期滞在を勧められた鹿子木は、住友家に支援を願い出て、2年間留学延長できる奨学金を受けています。その代わりに鹿子木は、師のジャン=ポール・ローランスを含む西洋絵画の実作を住友家にもたらし、さらにはアングルやコローといった名画の模写も収めています。その後も住友家の後援により、1906年(明治39)と1915年(大正5) の2回にわたり渡仏し、当地で本格的な絵画学習を果たしました。
本展では、近代における洋画家支援の様相、また画家とパトロンの親しい交流を紹介します。


展示構成
第1章:「不倒」の洋画家への旅が始まった。
1874(明治7)年、旧岡山藩士の家に生まれた鹿子木孟郎は、14歳で松原三五郎の天彩学舎に入門し洋画を学び始めました。上京後は、小山正太郎の不同舎で「ただ一本の線」による素描を重点的に修練し、空気や光の移ろいまで描き出す写実表現の基礎を築きます。文部省教員検定試験に首席合格後、各地の中学や師範学校で美術教師を務めながら、明治美術会展に出品し画家としても注目されました。本章では、少年期の繊細な水彩、不同舎時代の風景素描、初期油彩画に見る観察力と描写力の高さを紹介します。「不倒」と号した鹿子木の、倦まずたゆまぬ写実探究の歩みがここに始まります。

第2章: タケシロウ、太平洋を渡ってパリまで行く。
1900年(明治33)、鹿子木孟郎は仲間と共に渡米し、水彩・素描展を開催。その作品売却で得たお金を元にヨーロッパへ渡り、浅井忠の勧めによりパリへ留学。アカデミー・ジュリアンで「最後の歴史画家」と称されたジャン=ポール・ローランスに師事し、西洋絵画の基礎である人体デッサンや油彩表現に励みました。さらにルーヴル美術館で古典名画の模写を重ねることで、鹿子木の人物画研究は深みと多様性を増し、それは《白衣の婦人》などの滞欧作に結実しています。帰国後は京都で画塾を開き、教育と創作の両面で洋画界に貢献しました。

特集 鹿子木の師ローランス
鹿子木孟郎がフランス留学中に師事したジャン=ポール・ローランスは、19世紀後期のアカデミー画家。光と闇の対比によるドラマティックな空間のなかに歴史人物を写実的に描き出し、主題や感情の動きを捉えた作風で知られました。アカデミー・ジュリアンでの直接指導のもと、鹿子木はローランスの精緻な描写力を学び取り、自身の作品へと昇華させていきます。本展では、鹿子木が仲介して住友に届けたローランスの代表作から、鹿子木渡仏時代に描かれた作品などを紹介します。

第3章:再び三たびのヨーロッパ。写実のその先へ
1906(明治39)年、鹿子木孟郎は斎藤与里、伊庭慎吉とともに2度目のフランス留学に赴き、アカデミー・ジュリアンで油彩裸体画の研究に没頭。サロン入選や同校の最高賞受賞を果たし、大きく飛躍しました。帰国後は関西美術院長などを務めつつ、派閥争いを離れ自らの画塾を設立。1915(大正4)年には3度目の留学で象徴主義の風景画家ルネ・メナールと出会い、写実にとどまらない観念的表現への展開を模索します。3度の渡欧は、古典への憧憬とリアリズムの確信を深めるとともに、画家としての核を形成する重要な転機となりました。

第4章:象徴主義の光を受けて ― 不倒の画家、構想の成熟。
鹿子木孟郎は3度にわたるフランス留学を通じ、リアリズムを基盤に精神性と象徴性を併せ持つ独自の表現を追求しました。特に第3次留学で出会った象徴主義の風景画家ルネ・メナールの影響により、自然の背後に潜む観念的な世界へのまなざしが強まります。帰国後は寓意的な人物画や、象徴主義的な歴史画にも取り組み、写実に裏打ちされた精神的表現を深化させました。雅号「不倒」に象徴されているように、晩年に至るまで、流行や権威に迎合することはなく、写実という厳格な軸のもとに、感情の表出を抑制しながら精神性と象徴性を高い次元で融合した作風を展開しました。

開催概要

展覧会名特別展 生誕151年からの鹿子木孟郞 ―不倒の油画道―
英語表記Special Exhibition: 151 Years Since the Birth of Kanokogi Takeshirō
会期
2026年1月17日(土)〜2026年4月5日(日)
前期2026年1月17日(土)〜2026年2月23日(月・祝)
後期2026年2月25日(水)〜2026年4月5日(日)
会場 泉屋博古館東京
住所 106-0032 東京都港区六本木1丁目5番地1号 Google Map
時間
11:00〜18:00
※金曜日は19:00まで開館 ※入館は閉館の30分前まで
休館日
月曜日
2月24日(火)休館 ※2月23日(月・祝)は開館
入館料
一般1,500円(1,300円)、学生800円(700円)、18歳以下無料
※20名様以上の団体は( )内の割引料金
※障がい者手帳等ご呈示の方はご本人および同伴者1名まで無料
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL
【泉屋博古館東京 公式サイト】
https://sen-oku.or.jp/tokyo/
SNS
主催 公益財団法人泉屋博古館、日本経済新聞社
特別協力 府中市美術館
交通案内
地下鉄
東京メトロ南北線「六本木一丁目」駅下車
北改札正面 泉ガーデン1F出口より屋外エスカレーターで徒歩3分
東京メトロ日比谷線「神谷町」駅下車 4b出口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王」駅下車 13番出口より徒歩10分
お車・タクシーでお越しの方
首都高速環状線「霞ヶ関」出口より車で5分
首都高速環状線「飯倉」出口より車で2分
正面向かいに「スウェーデン大使館」、隣に「スペイン大使館」があります。
当館には駐車場および駐輪場はありません。
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広報用画像一覧

  • 画像説明鹿子木孟郞《ノルマンディーの浜》1907年(明治40)泉屋博古館東京寄託
  • 画像説明ジャン=ポール・ローランス《マルソー将軍の遺体の前のオーストリアの参謀たち》1877年 泉屋博古館東京
  • 画像説明ジャン=ポール・ローランス《イレーヌ》1896年 府中市美術館
  • 画像説明ジャン=ポール・ローランス《年代記》1906年 泉屋博古館東京
  • 画像説明鹿子木孟郞《白衣の婦人》1901-03年頃(明治34-36)京都工芸繊維大学美術工芸資料館(AN.2298)
  • 画像説明鹿子木孟郞《ショールをまとう女》1906-07年(明治39-40)府中市美術館
  • 画像説明鹿子木孟郎《厨女図模写 (原画ジョセフ・バイユ)》1901-03年頃(明治34-36) 泉屋博古館東京
  • 画像説明鹿子木孟郞《山村風景》1914年(大正3)岡山県立美術館
  • 画像説明鹿子木孟郞《婦人像》個人蔵
  • 画像説明鹿子木孟郞《大正十二年九月一日》1924年(大正13)東京都現代美術館

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