プレスリリース

UPDATE

中西夏之
緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置

開催期間会期

山梨県立美術館(山梨県甲府市貢川1-4-27)にて、特別展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」を2026年7月4日(土)~8月23日(日)の会期で開催します。戦後日本を代表する芸術家、中西夏之(1935~2016)の没後初の大規模な個展です。

中西夏之《LℓR―目前のひびき-Ⅲ》1988年 和歌山県立近代美術館蔵 
©NATSUYUKI NAKANISHI

この展覧会の
広報用データのお申込みはこちら
ログインしてご利用ください。

展覧会概要

本展は戦後日本を代表する現代美術家、中西夏之(なかにし・なつゆき、1935~2016)の没後初の大規模な個展です。中西は大学卒業後に〈韻〉連作を発表後、高松次郎および赤瀬川原平とともに創設した前衛美術家集団「ハイレッド・センター」での活動、また土方巽らとの舞踏における協働を経て、1960年代後半からは再び絵画制作に没頭していきます。中西独自の絵画思考に基づいて制作された〈山頂の石蹴り〉、〈arc・ellipse〉、〈紫・むらさき〉、〈作品ーたとえば波打ち際にて〉、〈中央の速い白〉、〈Lm, T 揺れる足場〉、〈4ツの始まり〉などの数々の連作は、中西が絵画のありようについて残した言葉「緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」が示唆するように、その色彩とフォルムに浸るよう、鑑賞者を誘います。
また中西は1990年から2007年まで、山梨県大月市に作業場を構えていました。本展は没後10年の節目の年に、県ゆかりの作家でもある中西夏之を当館で初めて大きく取り上げる機会となります。


みどころ
1.没後10年の節目の年に開催する、没後初の大規模な個展
中西夏之の大規模な個展は生前、東京都現代美術館(1997年)、愛知県美術館・愛媛県美術館(2002-03年)、 、渋谷区立松濤美術館(2008年)、 DIC川村記念美術館(2012年)などにおいて、定期的に開催されてきました。本展は作家没後10年の節目の年に開催される、没後初の大規模な個展となります。本展は国立国際美術館(大阪)を皮切りに、当館、セゾン現代美術館(長野県)、茨城県近代美術館へと巡回します。

2.初期から晩年までの作品を網羅した回顧展
中西は高松次郎および赤瀬川原平と創設した「ハイレッド・センター」での活動、土方巽らとの舞踏の協働を経て、1960年代後半以降は〈山頂の石蹴り〉、〈紫・むらさき〉、〈中央の速い白〉といった独自の思考に基づいた絵画連作に没頭していきました。本展では学生時代に描いた最初期から亡くなる前年に描かれた最晩年までの作品を展示し、作家の全体像を浮かび上がらせます。

3.大月市にアトリエを構えるなど、山梨との深いゆかり
中西は1990年から、最後のアトリエとなった伊豆へと2007年に移住するまで、15年ほど山梨県大月市にアトリエを構え、そこで数多くの絵画作品を生み出しました。そのアトリエは現在「土方・中西メモリアル猿橋倉庫」となり、1960年代に協働した土方巽の舞踏資料の収蔵場所、およびパフォーマンス・スペースとして引き継がれています。


展示構成
第1章 生体と物質の錬金術
中西夏之は、1950年代の後半より、画家としての活動を本格化させました。東京藝術大学絵画科油画専攻卒業後、ハーバート・リード著『イコンとイデア 人類史における芸術の発展』の中に出てくる「内触覚」という概念を根底に、しばしば「T字型」とも呼ばれる形態が無数に見られる〈韻〉連作を発表しました。また安保闘争が収束してしばらく経った1962年以後、中西はしばしば、「直接行動」とも呼ばれるパフォーマンスを東京の街中で繰り広げ、同世代の美術家である高松次郎、赤瀬川原平とともに「ハイレッド・センター」を結成してからは、こうした反芸術的な傾向に拍車がかかりました。《洗濯バサミは攪拌行動を主張する》や、卵形のポリエステル樹脂の中に様々なものを封入した〈コンパクト・オブジェ〉が制作されたのもこの時期にあたります。一方、同じ頃に舞踏家の土方巽と出会い、やがて協働を重ねていくことによって、中西は身体や場所に対する関心を深めていきました。このように、絵画やパフォーマンスや舞台芸術などの、異なる諸領域間を自由に往来したことを基礎に、中西はその後、絵画をめぐる独自の思考を展開することになりました。

第2章 絵のある場所と絵の形
反芸術ならびに舞踏という迂回路を経て、中西は1960年代後半からは再び絵画と向き合うようになり、絵画の成立根拠たる「色」と「形」、そしてそれらを受け止める「画面」についての、独自の思考を練り上げていきました。〈K.T像〉の連作では、赤と黄の中間にあるオレンジと黄と青の中間にある緑という2つの色に特別な意味を与え、互いに惹かれあいながら、同時に斥けあうような関係にあるとしました。また同連作においてモデルは着ているシャツを左右に開き、その内側を見せていますが、その仕草は縦に切り開かれ、伸ばされたかつての円筒こそが画面の形なのだと仮定した中西の絵画思考を示唆するとも考えられます。一方、この頃の中西が好んで描いた正三角形は、開いた両手の、親指同士と人差し指同士を合わせたときにできる図形ゆえ、身体に内在する幾何学形態とみなされています。有機的であり、また幾何学的でもあるという、両極のあわいに位置づけられるその形態は、1969年に始まる連作〈山頂の石蹴り〉の主要な構成要素にもなりました。病み上がりの虚脱状態で高台にあるアトリエまで通って描いたというこの連作において、彼は描くことの不安定さそれ自体に焦点を当てています。

第3章 無限遠点からの弧線
1973年頃、曲線を描くための道具である鉄道定規を知ったことをきっかけに、中西は画布の縦辺の直線が巨大な曲線の一部でありうる可能性を見出しました。円弧への意識は、1978年の連作〈弓形が触れて〉に取り付けられた弓として現れました。また本連作は中西にとって大きな転機になりました。中西は眼前の絵の位置を、自我や地球のスケールを超えた第三項から導き出すコンセプトを創案し、その具体化の方法を本連作によって手に入れました。
続く連作〈arc・ellipse〉では、画布を天井から一点吊りにし、長い柄の筆を用いて描くという方法が採られ、円の中心から画面までの遠さとそれに伴う不安定さを可視化しようとしました。またこの頃から画面上に無数の「×」印が現れました。また「M字型」や「ℓ字型」を画面に浮かび上がらせつつ、できた空隙から顔をのぞかせた紫は、オレンジや緑とともに中西にとっての独自の三原色となりました。一方、山梨県大月市にアトリエを設けた1990年前後、彼は〈大括弧〉や〈中央の速い白〉という連作を手がけるにあたって、「白よりも白い色」とみなした明るい黄緑色を用いました。

第4章 想像的地表にあふれる光
1990年代に入ってからの中西の作品には、たとえば「足元」や「揺れる足場」など、地面に関わる言葉が見られます。中西はかねてより、日本列島を「一隻の小舟」に見立て、その不安定な足場の上で営まれる絵画制作に思いを馳せてきました。阪神淡路大震災と同年の個展で、中西は「絵画場」なる概念を提示し、垂直に立つ画面と、水平に広がる地面に対する思考をまとめました。両者がともに持つ、覚束なさの感覚は、時を同じくして開始される〈着陸と着水〉というインスタレーション連作の主題になりました。1975年の、開いた本を想起させる作品《カーボランダム・ホワイトランダム》に淵源するというその実践は、2011年3月11日の、 東日本大震災を契機に手がけられた《着陸と着水XIV 五浦海岸》(茨城会場のみ展示)に至るまで、断続的にくり返されています。
太平洋を見晴らす、静岡県の伊豆高原へと転居した2007年以後も、中西は「地塗反転」という方法や、〈擦れ違い〉という主題によって、「像の発生と消滅」の実現を試みました。来し方と行く末の、あるいは遠さと近さの、決して一つにまとまることのない緊張状態こそが、そこでは目指されています。

中西夏之について
1935年 東京に生まれる
1958年 東京藝術大学美術学部絵画科(油画専攻)卒業
1959年 絵画〈韻〉連作を開始
1963年 高松次郎、赤瀬川原平とともに「ハイレッド・センター」創設
1965年 土方巽らとの舞踏での協働が始まる
1968年~ 〈山頂の石蹴り〉、〈弓形が触れて〉、〈紫・むらさき〉、〈ℓ 字型-左右の停止〉などの絵画連作を制作
1990年 山梨県大月市に作業場を設ける。以降〈中央の速い白〉、〈大括弧〉、〈Lm, T 揺れる足場〉などの絵画連作を制作
1996年 東京藝術大学美術学部教授就任。2003年まで教鞭をとる
2007年 伊豆高原にアトリエを構える
2016年 没
東京都現代美術館(1997年)、愛知県美術館・愛媛県美術館(2002-03年)、渋谷区立松濤美術館(2008年)など、
全国の美術館で個展開催。

開催概要

展覧会名中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置
会期
2026年7月4日(土)〜2026年8月23日(日)
会場 山梨県立美術館
住所 400-0065 山梨県甲府市貢川1-4-27 Google Map
時間
午前9:00~午後5:00(入館は午後4:30まで)
休館日
月曜日(7月20日、8月10日は開館)、7月21日(火)
観覧料
一般1,000円(840円)、大学生500円(420円)
※大学生は学生証を提示
※( )内は20名以上の団体料金、前売券、県内宿泊者割引料金、
※前売券は6月5日(金)~7月3日(金)まで山梨県立美術館で販売
(休館日を除く開館時間内)

次の方は無料
・高校生以下の児童・生徒(高校生は学生証を提示)
・県内在住の65歳以上(年齢が分かるものを提示、県外の方は一般料金)
・障害者とその介護者(障害者手帳持参)
TEL 055-228-3322
URL
【山梨県立美術館 公式サイト】
https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp
SNS
主催 山梨県立美術館、テレビ山梨、読売新聞社、美術館連絡協議会
後援 NHK甲府放送局、山梨日日新聞社・山梨放送、テレビ朝日甲府支局、朝日新聞甲府総局、毎日新聞甲府支局、産経新聞甲府支局、共同通信社甲府支局、時事通信社甲府支局、山梨新報社、日本ネットワークサービス、エフエム富士、エフエム甲府
協力 SCAI THE BATHHOUSE、山梨交通
助成 公益財団法人ポーラ美術振興財団
交通アクセス
電車・バス
JR中央本線甲府駅より
・JR甲府駅バスターミナル(南口)1番乗り場より、03・04系統 竜王駅経由敷島営業所、30系統 貢川団地、35系統 大草経由韮崎駅、39系統 御勅使各行きのバスで約15分、「山梨県立美術館」下車(340円)。※当館ホームページからもバスの時刻表をご覧いただけます。
・タクシーで約15分

中央自動車道
・甲府昭和インターチェンジより約10分
・双葉スマートインターチェンジより約10分 ※ETC専用
中部横断自動車道 
・白根インターチェンジより約20分 ※ETC専用
甲府駅までの主な公共交通機関
・JR新宿駅より JR中央本線特急あずさ・かいじで約1時間30分
プレスリリース ダウンロード
ログインしてご利用ください。

関連イベント

記念講演会「中西と土方の協働作業をめぐって」
中西と土方巽らの舞踏おける協働や、かつて中西のアトリエだった大月市の土方・中西メモリアル猿橋倉庫について、中西の実作品とともにお話しいただきます。
日時 2026年7月18日(土) 13:30~15:00頃(開場13:00)
講師 森下隆 氏(慶應義塾大学アート・センター  土方巽アーカイヴ)    
場所 講堂     
定員 100名程度  
※要申込
※聴講無料

ワークショップ「なりきりナカニシ!中西夏之の制作方法に挑戦しよう」
長い柄をつけた筆、天井から一点吊りにされた画布・・・絵画に向き合った中西になりきって、独自の制作方法に挑戦しよう!
日時 7月12日(日) 13:30~16:00
対象 小学4年生~大人    
定員 10名程度    
集合場所 ワークショップ室
※要申込  
※参加無料

担当学芸員によるギャラリートーク
日時 8月8日(土) 14:00~    
集合場所 特別展示室入口
※申込不要 
※参加無料ですが、特別展チケットが必要です。

アートでトーク 
案内役と一緒に本展の展示作品を観て、対話する鑑賞会です。
日時 7月23日(木) 10:00~10:40  
対象 中学生以上   
定員 5名程度   
集合場所 特別展示室入口
※要申込 
※参加無料ですが、特別展チケットが必要です。

申込方法などの詳細はHPやチラシをご参照ください。

山梨県立美術館について

「ミレーの美術館」として親しまれています
1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として広く親しまれています。
ミレーの代表作《種をまく人》や《落ち穂拾い、夏》など70点のミレー作品を所蔵し、コレクション展示室で紹介しています。
広々とした展示空間でゆったりと鑑賞することができます。

「3のつく日はミレーの日」
毎月3のつく日はコレクション展A(ミレー館)で作品の写真撮影が可能です。

富士山の眺めも楽しめます
緑豊かな“芸術の森公園”に立地し、園内からは富士山や八ヶ岳など山梨の山々の景色を眺めることができます。

広報用画像一覧

  • 画像説明中西夏之《コンパクト・オブジェ》1962年
    国立国際美術館蔵 撮影:福永一夫 
    ©NATSUYUKI NAKANISHI
  • 画像説明中西夏之《LℓR―目前のひびき-Ⅲ》1988年 和歌山県立近代美術館蔵 
    ©NATSUYUKI NAKANISHI
  • 画像説明《作品-たとえば波打ち際にて VIII》
    1984年 セゾン現代美術館蔵 
    ©NATSUYUKI NAKANISHI
  • 画像説明中西夏之《中央の速い白 XIII》 1990年 
    千葉市美術館蔵 
    ©NATSUYUKI NAKANISHI
  • 画像説明大月市のアトリエで制作する中西夏之、2002年
    撮影:石川裕修
    写真提供:愛知県美術館
  • 画像説明中西夏之《紫・むらさきXVIII》1983年
    国立国際美術館蔵 
    ©NATSUYUKI NAKANISHI
  • 画像説明
  • 画像説明

会員向けご提供広報用データ

ログイン または 新規会員登録の上、お申込みいただけます。
掲載媒体には、読者プレゼント用ご招待チケット5組10名様分をご提供可能
プレスリリース・画像データの一括ダウンロード
山梨県立美術館の施設(外観・内観)画像も同時ご提供
この展覧会の
広報用データのお申込みはこちら
ログインしてご利用ください。
  • ログインされていない場合は、
    ログインの上、お申込み画面にお進みください。
  • ご新規の媒体は、ご登録の上、お申込みください。
    ご登録の際はご利用規約をお目通しの上、ご利用ください。
注意事項
当サイトのご利用にはログインが必要です。ログインの上、ご利用ください。 会員新規登録はこちらから
ご登録は、報道・メディア関係者の方に限ります。それ以外の一般の方はご登録いただけませんので、ご了承ください。
  • 推奨環境について:Google Chrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edge、Safari各最新版、Internet Explorer11、iOS11.0以降、Android 6.0以降を推奨しております。推奨環境以外でのご利用や、推奨環境下でもブラウザの設定によっては、ご利用できないもしくは正しく表示されない場合がございます。また、JavaScript、Cookieが使用できる環境でご利用ください。不具合が生じた場合は、ARTPR担当者 までご連絡ください。