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カルン・タカール・コレクション
インド更紗 世界をめぐる物語

開催期間会期

山梨県立美術館(山梨県甲府市貢川1-4-27)にて、特別展「カルン・タカール・コレクション インド更紗 世界をめぐる物語」を2026年4月25日(土)より6月21日(日)まで開催いたします。インドの代表的な染織品である更紗。本展では、世界屈指の染織品コレクターとして知られるカルン・タカール氏のコレクションを中心に、インド更紗の優品の数々をご紹介します。

《白地立木形花樹文様更紗掛布(パランポア)》
1740-50年頃
Karun Thakar Collection, London. Photo by Desmond Brambley

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展覧会概要

インドの代表的な染織品である更紗。木綿という優れた機能を持ちながらも染色の難しい素材に、天然染料の茜や藍を用いて複雑な文様を色鮮やかに、そして堅牢に染め上げる職人の技術は世界中の人々を魅了しました。更紗は古くから東南アジアやヨーロッパ諸国、日本においても高級品として重宝されるとともに、商人からの要望に応じて各国の好みに合わせた新しいデザインが生み出されるなど海を越えた文化交流の舞台にもなりました。
本展では世界屈指の染織品コレクターとして知られるカルン・タカール氏のコレクションを中心に、インド国内向けに作られた全長7.7メートルもの壮大な布からアジア・ヨーロッパ各地の趣味嗜好を反映させた多様な布、更紗をあしらった服飾品や室内装飾、茶道具に至るまでの優品の数々をご紹介します。インド更紗の魅力と歴史をぜひご堪能ください。


みどころ
1.カルン・タカール氏のインド更紗コレクションを日本初公開
カルン・タカール氏は1990年代後半から30年間にわたって、日本、インドネシア、スリランカ、タイ、ヨーロッパにおいて250点以上ものインド更紗を収集してきました。その逸品、優品揃いの稀有なコレクションは、14世紀から19世紀までのインド更紗の歴史と広がりをたどれるほどに充実しています。
これまでイギリスやアメリカの美術館では展示されてきましたが、このたび初めて日本に巡回いたします。

2.世界中を魅了するグローバル・プロダクトとしての更紗
力強いインドの美意識を内包した更紗は、世界中を魅了するグローバル・プロダクトとして流通し、数百年の時の流れのなかで各地のニーズに合わせて多種多様な変化を遂げていきました。
アジア・ヨーロッパ各国の市場向けに作られたバリエーション豊富な更紗の数々は、インドの綿織物産業の豊かさと職人の創造性の高さを鮮やかに映し出しており、本展はそれらを一望できるまたとない機会となります。

3.茶道具や刊本などを通じて、日本でも愛でられた更紗
インド更紗は日本にも渡り、人気を博します。茶道具の仕覆や掛軸の包裂など様々な用途に用いられ、日本の伝統文化に溶け込んでいきました。また実物だけでなく、更紗の図柄を多数掲載した刊本も登場したことで、より身近な存在として多くの人から愛されました。
本展ではそれらの品々に加えて、インド更紗をまねて日本で描かれたと考えられる更紗も展示し、日本での受容の様相にも迫ります。


展示構成
第1章 インド地域の更紗
本章では、インド地域内での使用を目的に制作された更紗を展示します。インド更紗はグローバル・プロダクトとして世界中の人々を魅了しましたが、同時にインド地域内の需要にも応えてきた長い歴史も有しています。
手描きあるいは木版によって木綿布に文様を施す技法はインド各地で数百年にわたって伝えられ、裕福な領主層たちは室内装飾用として、繊細な線や精緻な染めの技術を駆使した上質な更紗を注文しました。一方で、より広く国民に普及していたのは、比較的単純な染色技法でヒンドゥー教の物語図を描いた寺院用の掛布でした。これらの布は、村で語り部が物語をする際や、お祭りなどでの背景画として用いられました。
9世紀南インドの詩聖人マニッカヴァカカルの人生譚を描いた全長7.7メートルもの長大な布 《白地マニッカヴァカカル物語図更紗掛布》 は、ヒンドゥー教のシヴァ神を信奉する詩聖人の旅の様子や、シヴァ神の化身であるトリプランタカがアスラ族の3つの都市を破壊する物語など、40以上もの場面が三段構造で描かれています。

第2章 初期アジア貿易の更紗
本章では、インドネシアを中心に東南アジア向けの代表的な更紗が揃います。インドネシアのスラウェシ島やスマトラ島では、インドから舶載された大きなサイズの更紗が多く発見されています。それらは主に儀礼の際に高所から吊るされたり、腰にまとう布として用いられたりしました。
《白地太陽文様更紗儀礼用布(マタハリ)》 には、オフホワイトの地を背景に、外に向かって光線を放つ太陽が描かれています。こうした様式の布はインドネシアにおいて「マタハリ(太陽)」の名で知られており、家宝として大切に扱われました。2メートル四方を超える更紗が良い保存状態でそのまま現存していることが、その証左といえるでしょう。
スラウェシ島で発見された13世紀後半から14世紀前半の儀礼布の中には、エジプトのカイロ旧市街にあるフスタート遺跡から出土した10世紀頃の裂と類似した文様が見られるものもあります。インド由来の文様がアフリカ大陸と東南アジアで発見されていることから、当時すでに世界的な規模で文化の共有がなされていたことが見て取れます。

第3章 ヨーロッパ向けの更紗
本章では、ヨーロッパにおける更紗受容の様相を紹介します。ヨーロッパ人は、当初は香辛料を輸入するために入手していたインド更紗の鮮やかな色彩の魅力と、肌触りよく水洗い可能な木綿布の機能性に魅了されました。更紗はヨーロッパで爆発的に流行し、その熱狂ぶりは、フランスやイギリスで自国の産業を守るためにインド更紗の輸入を禁じる法律が制定されるほどでした。
ヨーロッパでは花文様のデザインが特に好まれ、「パランポア」と呼ばれる室内装飾用の壁掛けやベッドカバーとして、またファッショナブルな衣装としてもてはやされました。白地に大輪の花を咲かせた立木と華やかな縁取りが施された 《白地立木形花樹文様更紗掛布(パランポア)》 は、その典型例ともいえる作品です。
《白地草花文様更紗椅子用掛布》 は、室内装飾用あるいは服地用の更紗を再利用して、フランスの家庭で仕立て上げられた椅子用カバーです。色も状態も良好で、高価な材料であるインド更紗が大切に使われたことを物語っています。

第4章 デザインのグローバル化とローカル化
本章では、地域や文化を越えてグローバルに展開した更紗が、それぞれの地域でローカル化されていく物語を辿ります。ヨーロッパ好みの花文様のデザインは、ヨーロッパ内のみならず異なる地域の消費者の嗜好にも影響を及ぼしました。スリランカやインドネシアで花文様の更紗が発見されていることは、その事実を雄弁に物語っています。
またインド更紗を受容したヨーロッパ人は、やがて自前で更紗を生産するようになりました。《草花文様更紗ベッドセット》 は、フランスで捺染(プリント)された更紗と、高価で貴重な18世紀のインド更紗が縦縞模様に縫い合わされたもので、インド更紗の受容から自国生産までの過程がひとつに詰まった貴重な作例となっています。
ヨーロッパ市場向けのインド更紗は、はるか遠くの日本にも渡ってきました。それらは着物や茶道具の仕覆、掛軸の包裂など様々な用途に用いられるとともに、小さな端切れすら「名物裂」として丁寧にアルバムに貼られ、大切にされました。オランダ市場向けに制作され、日本に伝来した《白地チューリップ虫文様更紗裂》 の斬新な図柄は、「目新しさ」を求める日本人の心をきっと掴んで離さなかったことでしょう。


カルン・タカール氏について 
1960年生まれのタカール氏は、インドのデリーで仕立屋を営んでいた母親を手伝う中で、幼少期からさまざまな染織品に囲まれて育ちました。1974年に家族でイギリスに移住してからも布や工芸の知識と興味を深め、1982年にアジアとアフリカの染織品から収集を開始しました。現在そのコレクションは数千点にもおよび、世界屈指の染織品・工芸品のコレクターとして知られています。タカール氏はコレクションを世界の人々と共有することをとても大切にしており、展覧会への出品や博物館への寄贈も積極的に行っています。また2021年にはロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館と協働で、アジア・アフリカの染織品と服飾の研究を助成するカルン・タカール基金を設立しました。

メッセージ
幼い頃から日本に興味があった私は、30年前に日本の染織品を集め始めました。そして、日本の文化的、視覚的、芸術的、美的観念に夢中になりました。その一端は2015年に出版された書籍 『銘仙着物:カルン・タカール・コレクション』 と、2023年のロンドンでの展覧会「日本のリサイクル美学」で公開されています。
インド更紗は日本において何世代にもわたって愛され、珍重されてきました。更紗にどれほどの敬意が払われてきたかを示す記録や文献は、1600年代初頭にまでさかのぼります。この舶来の布は、茶道具の仕覆をはじめ、風呂敷や煙草入れ、さらには掛け軸の表装や畳縁にも用いられ、日本の伝統に深く根ざしています。ごく小さな端切れでさえ、見本帖に貼られて大切に保存されてきたのです。
おそらく更紗は世界初のグローバル・プロダクトとも言えるでしょう。貿易の発展によってインドの職人たちは地域ごとに洗練されたデザインを制作することとなり、そうして生み出された染織品は、世界のデザインと感性の歴史に重要な役割を果たしました。
私が長年にわたってヨーロッパだけでなく日本、インドネシア、スリランカ、タイで収集してきた14世紀から19 世紀にかけての染織コレクションは、これまで英国や米国の美術館で展示されてきました。
このたび日本のみなさまにご覧いただけることを、大変光栄に思います。

開催概要

展覧会名カルン・タカール・コレクション インド更紗 世界をめぐる物語
会期
2026年4月25日(土)〜2026年6月21日(日)
※会期中一部の作品を展示替えします 
会場 山梨県立美術館
住所 400-0065 山梨県甲府市貢川1-4-27 Google Map
時間
午前9:00~午後5:00(入館は午後4:30まで)
休館日
月曜日(4月27日、5月4日は除く)、5月7日(木)
観覧料
一般1,000円(840円)、大学生500円(420円)※大学生は学生証を提示
※( )内は20名以上の団体料金、前売券、県内宿泊者割引料金、
前売券は3月25日(水)~4月24日(金)まで山梨県立美術館で販売
(休館日を除く開館時間内)

次の方は無料
・高校生以下の児童・生徒(高校生は学生証を提示)
・県内在住の65歳以上(年齢が分かるものを提示、県外の方は一般料金)
・障害者とその介護者(障害者手帳を提示)
TEL 055-228-3322
URL
【山梨県立美術館 公式サイト】
https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp
SNS
主催 山梨県立美術館、山梨日日新聞社・山梨放送
後援 ブリティッシュ・カウンシル、NHK甲府放送局、テレビ山梨、テレビ朝日甲府支局、朝日新聞甲府総局、毎日新聞甲府支局、読売新聞甲府支局、産経新聞甲府支局、共同通信社甲府支局、時事通信社甲府支局、山梨新報社、日本ネットワークサービス、エフエム富士、エフエム甲府
応援 インド大使館
協力 日本航空
企画協力 ブレーントラスト
監修 岩永悦子(福岡市美術館館長)
交通アクセス
電車・バス
JR中央本線甲府駅より
・JR甲府駅バスターミナル(南口)1番乗り場より、03・04系統 竜王駅経由敷島営業所、30系統 貢川団地、35系統 大草経由韮崎駅、39系統 御勅使各行きのバスで約15分、「山梨県立美術館」下車(340円)。※当館ホームページからもバスの時刻表をご覧いただけます。
・タクシーで約15分

中央自動車道
・甲府昭和インターチェンジより約10分
・双葉スマートインターチェンジより約10分 ※ETC専用
中部横断自動車道 
・白根インターチェンジより約20分
甲府駅までの主な公共交通機関
・JR新宿駅より JR中央本線特急あずさ・かいじで約1時間30分

関連イベント

講演会「インド更紗-グローバルなデザイン、ローカルなプロダクトー」
日時 2026年4月25日(土) 13:30~15:00
講師 岩永悦子氏(本展監修者、福岡市美術館館長)    
場所 講堂
※申込不要、聴講無料、定員100名程度(先着順)

ワークショップ「インド更紗の技法を身近に感じよう!」
実際の材料を用いた実演レクチャー、木版の型押しや茜染めの実技体験、展覧会鑑賞を通じて、楽しみながらインド更紗の技法への理解を深めます。
「① 木版で布に型押ししてみよう!」    
日時 5月9日(土) 13:30~15:30
「② 茜で布を染めてみよう!」
日時 5月16日(土) 13:30~15:30

講師 西岡ゆう子氏(株式会社アナンダ)
対象 小学4年生~大人    
定員 各回20名    
集合場所 工房
申込方法 電話でお申し込みください。Tel: 055-228-3322
申込期間 4月9日(木)9:00~定員になり次第締切
※参加無料。両方のご参加をおすすめいたしますが、どちらか片方のみのお申し込みも可能です。

担当学芸員によるギャラリートーク
日時 5月31日(日) 14:00~15:00    
集合場所 特別展示室入口
※参加無料。申込不要ですが特別展チケットが必要です。

関連上映会(ミュージアムシアター) 「紫」(2011年、77分)
染織史家「染司よしおか」五代目当主、故・吉岡幸雄の活動を追ったドキュメンタリー。(音声:日本語)
日時 6月13日(土)13:30~    
定員 90名(要申込)    
場所 講堂
申込方法 電話でお申し込みください。Tel: 055-228-3322
申込期間 5月19日(火)9:00~定員になり次第締切
※鑑賞無料。定員に達していない、または当日キャンセルが出た場合は当日受付有。

山梨県立美術館について

「ミレーの美術館」として親しまれています
1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として広く親しまれています。
ミレーの代表作《種をまく人》や《落ち穂拾い、夏》など70点のミレー作品を所蔵し、コレクション展示室で紹介しています。広々とした展示空間でゆったりと鑑賞することができます。
「3のつく日はミレーの日」
毎月3のつく日はコレクション展A(ミレー館)で作品の写真撮影が可能です。

富士山の眺めも楽しめます
緑豊かな“芸術の森公園”に立地し、園内からは富士山や八ヶ岳など山梨の山々の景色を眺めることができます。

広報用画像一覧

  • 画像説明《白地人物草花文様更紗儀礼用布》17-18世紀
    Karun Thakar Collection, London. Photo by Desmond Brambley
  • 画像説明《白地人物文様更紗儀礼用布(マア)》1450-1650年頃
    Karun Thakar Collection, London. Photo by Desmond Brambley
  • 画像説明《白地太陽文様更紗儀礼用布(マタハリ)》18世紀後半あるいは19世紀
    Karun Thakar Collection, London. Photo by Desmond Brambley
  • 画像説明《白地立木形花樹文様更紗掛布(パランポア)》
    1740-50年頃
    Karun Thakar Collection, London. Photo by Desmond Brambley
  • 画像説明《白地人物動物文様更紗裂》18世紀
    Karun Thakar Collection, London. Photo by Desmond Brambley
  • 画像説明《赤地立木形花樹文様更紗掛布(パランポア)》18世紀
    Karun Thakar Collection, London. Photo by Desmond Brambley
  • 画像説明チラシ画像

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