
プレスリリース
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ライシテからみるフランス美術
信仰の光と理性の光
宇都宮美術館(栃木県宇都宮市長岡町1077)にて、「ライシテからみるフランス美術 信仰の光と理性の光」を2025年10月12日(日)より12月21日(日)まで開催いたします。本展では、フランス革命から20世紀半ばへと至る時代に焦点を当て、優れた作品の数々を、それを生み出した信仰や社会の変化に沿ってご紹介します。民主主義社会の創設――すなわち人が人の力で社会を作り上げようと模索する時代に、人が作る物に宿る聖性の起源と行方を追いかけていきましょう。
ジャン=フランソワ・ミレー《無原罪の聖母》1858年 山梨県立美術館
「教会の長女」か、「革命の娘」か、それとも――。
キリスト教の神の威光に支えられたブルボン王朝に終わりを告げ、新たな時代を照らす光を人間の理性に見出したフランス革命。その理想は恐怖政治へと陥り、多くの犠牲を生んだ末、安定した社会の実現に至ることはありませんでした。
ナポレオンの時代を経て王政が復活し、社会は一定の秩序を取り戻します。しかしながら、その後も一つの問いがフランス社会に突きつけられ続けることになります。すなわち、フランスは「カトリック教会の長女」に戻るのでしょうか、あるいは「革命の娘」となるのでしょうか。社会を大きく二分するこの問いのもと、さまざまな思想や価値観が錯綜し、国家と宗教との関係性はマイノリティーの宗教をも巻き込みながら大きく揺れ動いていきます。
こうしたうねりの中で、美術もまたその姿を変化させていきます。絶対の指針が失われた時代に、何をどのように描けばよいのでしょうか。美術は何を映し出すのでしょうか。そして、美術を美術たらしめる「力」は、どこから生まれてくるのでしょうか。
本展では、フランス革命から20世紀半ばへと至る時代に焦点を当て、優れた作品の数々を、それを生み出した信仰や社会の変化に沿ってご紹介します。民主主義社会の創設――すなわち人が人の力で社会を作り上げようと模索する時代に、人が作る物に宿る聖性の起源と行方を追いかけていきましょう。
ライシテは今日のフランス共和国の根幹となる重要概念の一つです。フランスの歴史と結びついた独特の政教分離のあり方で、国家は宗教から自律した考え方のもとで運営され、宗教的に中立な立場を取ることになります。市民は公的な場では宗教的な振る舞いを抑制することが求められますが、一方で、個人としていかなる宗教を信じることも信じないことも自由であることが保障されます。さまざまなバックグラウンドを持つ人々が生活するフランス社会において、安心して共生することのできる社会の実現のための原則だと考えることもできるでしょう。
みどころ
1. 国内美術館所蔵のフランス美術が集結。
有名作家の優品から知られざる作家の貴重作までを紹介。
ウジェーヌ・ドラクロワ、ジャン=フランソワ・ミレー、クロード・モネ、オーギュスト・ロダン、ジョルジュ・ビゴー、ジョルジュ・ルオー、マルク・シャガール、パブロ・ピカソといった有名作家の優れた作品が一堂に会する貴重な機会です。同時に、アリ・シェフェール、ロドルフ・ブレスダン、リュック=オリヴィエ・メルソン、ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ、ジョルジュ・デヴァリエール、エティエンヌ・ディネといった、その魅力が未だ十分に知られていない作家たちの印象的な作品もご紹介しますので、この機会にチェックしてみてください。
2. 「ライシテ」をキーワードに、フランスの歴史、文化、 思想をおさらい。
現代の社会 問題をより深く理解するための学びにもつながります 。
「美術作品をただ目で楽しむだけではもの足りない、その歴史的・思想的な背景までしっかりと味わい尽くしたい!」という方にピッタリ。フランス革命から第二次世界大戦までの百数十年の 歴史をたどりながら、そこに生きた人々の思いを感じる機会になるはずです。
「ライシテ」をめぐって今日のフランスや世界で話題になっている事柄について、より深く知るまたとないチャンスにもなるでしょう 。もちろん「ライシテなんて言葉、初めて聞いた」という多くの方々にとっても、これまでとはちがった角度から社会を眺めるための新しい視点を得ることにつながるはずです。
3. 宗教美術も多数出品。
世俗的な感覚・文脈にのせて紹介するため、新たな楽しみ方ができます。
「宗教画に興味はあるのだけれど、よくわからないことが多くて、いまいち楽しめないんだよな」という方に特におすすめの展覧会です。作品が生まれてきた当時の 歴史的・社会的な文脈に沿って作品をご紹介するので、キリスト教に精通していない人でも存分に楽しめます。同時代の人たちの様々な社会的立場を想像しながら、「もしも自分が 当時の教皇だったら、こんな絵は許せない!」とか、「当時の共和派だったら、こういう作品に熱狂しただろうな」と、人々の受けとめを想像してみましょう。
開催概要
展覧会名 | ライシテからみるフランス美術 信仰の光と理性の光 |
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英語表記 | Laïcité et Art français : lumières de la foi et de la raison |
会期 |
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会場 | 宇都宮美術館 |
住所 | 320-0004 栃木県宇都宮市長岡町1077 Google Map |
時間 |
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休館日 |
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観覧料 |
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TEL | 028-643-0100 |
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SNS | |
主催 | 宇都宮美術館、下野新聞社 |
特別協力 | 町田市立国際版画美術館 |
助成 | 芸術文化振興基金(展覧会助成)、公益信託タカシマヤ文化基金(シンポジウム助成)、公益財団法人ポーラ美術振興財団(調査研究助成) |
関連イベント
1.討論型鑑賞会「この絵、すごい?それとも、ひどい?」
個性豊かな近代美術が生まれるためには、作品についての自由な議論と評価が行えることがとても重要でした。作品をほめる人にもけなす人にも、作品の特徴を見抜く眼力と他人の感性に思いをはせる想像力、皆の気持ちを動かす言葉の力が求められます。「作品応援チーム」と「作品批判チーム」に分かれて、美術批評に挑戦しましょう。
日時:11月2日(日)①午前10時~11時30分 ②午後3時~4時30分
会場:宇都宮美術館 講義室、展示室2・3
定員:各回10名(事前申込制)
ファシリテーター:請田義人氏(倉敷芸術科学大学講師)、および本展担当学芸員
申込期間:10月1日(水)午前10時~10月24日(金)午後5時
申込方法:オンラインの専用申込フォームに記入いただくか、ハガキに参加希望の時間帯および氏名(複数参加の場合は全員)・住所・電話番号・参加人数を記入し、下記の宛先までお申込みください。定員を超えた場合は抽選。当落に関わらず、結果は美術館からご連絡差し上げます。
【ハガキ送付先】
〒320 0004 栃木県宇都宮市長岡町 1077 番地
「宇都宮美術館ライシテ展討論型鑑賞会係」
2.シンポジウム「ライシテからみる美術、美術史、美術館」
本展は、近代美術や美術館の仕組みが出来上がるまでの前史をたどるものでもあります。そこには宗教と美術との連続性/断絶性が垣間見られ、それは今日の美術館活動にも関係しているかもしれません。さまざまな分野の専門家にお話を聞いてみましょう。
登壇者:
金沢百枝氏(多摩美術大学 教授)
君島彩子氏(和光大学 講師)
鈴村麻里子氏(三重県立美術館学芸員、本展共同企画者)
伊達聖伸氏(東京大学大学院 教授 、本展学術協力者)
藤原貞朗氏(茨城大学 教授)
および本展担当学芸員
日時:日時:11月23日(日・祝)午後1時~5時30分(開場は12時30分)
会場:宇都宮美術館講義室
定員:150名(事前申込不要、当日先着順)※企画展チケットをお求めください。
3.担当学芸員によるギャラリートーク
日時:10月19日(日)、10月26日(日)、11月15日(土)、11月29日(土)各回午後2時~
※企画展チケットをお求めのうえ、中央ホールにお集まりください。
広報用画像一覧
アンドレア・アッピアーニ《ルーヴル宮殿でアテナ像の前に立つナポレオン》1814年頃 東京富士美術館©東京富士美術館イメージアーカイブ/DNPartcom
ウジェーヌ・ドラクロワ《聖母の教育》1852年 国立西洋美術館、東京国立博物館より管理換え
ジャン=フランソワ・ミレー《無原罪の聖母》1858年 山梨県立美術館
ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ《聖ジュヌヴィエーヴの幼少期》1875年頃 島根県立美術館
アレクサンドル・カバネル《エステル女王》1882年 府中市美術館
ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ《愛国(習作)》1893年頃 公益財団法人大原芸術財団 大原美術館
ジョルジュ・ビゴー《熱海の海岸》あるいは《熱海にて、日本の漁師たち》1888年頃 宇都宮美術館
ジョルジュ・デヴァリエール《善き盗人》1913年 公益財団法人大原芸術財団 大原美術館
モーリス・ユトリロ《旗で飾られたモンマルトルのサクレ=クール寺院》1919年 埼玉県立近代美術館
エティエンヌ・ディネ《モスクからの帰り》1918年 国立西洋美術館(松方コレクション)
クロード・モネ《ラ・ロシュ=ブロンの村(夕暮れの印象)》1889年 三重県立美術館
ルネ・マグリット《大家族》1963年 宇都宮美術館
ジョルジュ・ルオー《秋の夜景》1952年 パナソニック汐留美術館
チラシイメージ(表)
チラシイメージ(裏)
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