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小出楢󠄀重 新しき油絵
大阪中之島美術館(大阪市北区中之島4-3-1)にて、「小出楢󠄀重 新しき油絵」を2025年9月13日(土)から11月24日(月・振)まで開催いたします。大阪市出身で、大正から昭和初期にかけて活躍し、日本人としての油彩画を追求し続けた画家、小出楢󠄀重(こいでならしげ)。四半世紀ぶりの本格的な回顧展となる本展では、楢󠄀重の創作を各時代の代表作とともにたどり、画家が求めた独自の表現について再考します。
小出楢󠄀重 《卓上静物》 1928年 京都国立近代美術館
展覧会概要
大阪市出身で、大正から昭和初期にかけて活躍し、日本人としての油彩画を追求し続けた画家、小出楢󠄀重(1887-1931)。特に裸婦像は「裸婦の楢󠄀重」と称されるほどの独自の様式に到達し、日本女性の裸身を絵画上に魅力的に表現しました。
四半世紀ぶりの本格的な回顧展となる本展では、楢󠄀重の創作を各時代の代表作とともにたどり、画家が求めた独自の表現について再考します。また、油彩画のみならず、ガラス絵、挿絵、装幀、随筆などに発揮された多彩な才能もあわせて紹介します。さらには、設立者の一人となり、1924年(大正13)に大阪市西区に開設された信濃橋洋画研究所を特集。楢󠄀重の教育者としての活動を振り返ります。日本近代洋画史上稀有な才能を発揮した楢󠄀重について、その魅力を再発見する機会となるでしょう。
みどころ
1.25年振りの本格的な回顧展
初期の東京美術学校時代の作品から絶筆に至るまで、その画業の全貌をご覧いただきます。
2.「裸婦の楢󠄀重」の代表作が一堂に
画業の後半に制作された数々の裸婦像。年を経るごとに洗練され、独自の様式を作り上げる過程を、代表作によってたどります。
3.油彩画にとどまらない多岐にわたる活動
ガラス絵、日本画、挿絵、装幀、随筆など、様々な分野で発揮された多彩な才能をご紹介します。
小出楢󠄀重とはどんな画家?
楢󠄀重芸術の真骨頂、「裸婦」の表現に寄せる思い
裸婦のテーマは楢󠄀重芸術の真骨頂であり、生前から「楢󠄀重の裸婦」「裸婦の楢󠄀重」と称されるなど高い評価を得ていました。画家が追求したのは、日本人ならではの美しさの表現です。「大体、私自身は西洋人よりも日本の女の方が好きなのだ。それで裸体を描く時にでも私は決して理想的なものを求めたくない」と述べたように、楢󠄀重は日本人が西洋人と比べて不体裁とされる特徴、すなわち胴の長さや太ももの大きさ、足の短さなどをあえて強調するように、身体をデフォルメして描きました。モデルの人格や個性を意識しないよう、顔が描かれていないか、描かれていても単純化されていることも特徴の一つです。また、日本人の肌の色が、西洋人にはない温かみを持っていると感じた楢󠄀重は、黄色や赤、淡い緑などを用いて、複雑な色合いと滑らかな肌の質感を巧みに表現しています。
ユーモアに満ちた会話と指導力で周りを魅了した楢󠄀重
小出楢󠄀重は自らを「骨人」と呼ぶほどやせ細っており、身体も丈夫ではありませんでした。彼が数多く描いたのが室内での静物画や裸婦像であったのも、健康面が理由の一つです。20代のうちはなかなか芽が出ず、30歳を過ぎて二科展で評価を得、遅咲きのデビューを果たすと、関西での評判はすぐに高まっていきました。直々にアトリエを訪ね指導を願う若者も現れ、みなその指導力はもとより、皮肉とともにユーモアのある会話に魅せられたといいます。楢󠄀重の独特の言葉のセンスは、数多く残された随筆にも発揮されています。43歳で早世した楢󠄀重の絶筆は《枯れ木のある風景》で、この作品に着想を得て宇野浩二が小説「枯れ木のある風景」を執筆しました。
その驚くべき制作技法、楢󠄀重が芸術的価値を高めた「ガラス絵」とは!?
ガラス絵は文字通りガラスに描いた絵で、絵具をのせた反対の面から鑑賞するものです。制作は通常と逆の手順となり、一般的な絵画では最後に描くもの(例えばサインなど)を最初に、左右反転した状態で描き込む必要があります。江戸時代に日本に渡来したガラス絵は、明治時代には工芸品の一部に用いられていましたが、芸術品ではありませんでした。ガラスという素材に愛着があった楢󠄀重は、試行錯誤しながらガラス絵の技法を確立し、芸術としての価値を高めました。楢󠄀重のガラス絵の特徴には、手の中に収まるほどの小ささと、額縁にも凝っていることが挙げられます。

アトリエの小出楢󠄀重 1928年2月
画像提供:芦屋市美術博物館
大阪市南区(現・中央区)に生まれる。生家は「天水香」で知られた薬舗積善堂。市岡中学校(現・大阪府立市岡高等学校)卒業後、東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科に入学。2年後に本来志望していた西洋画科に転科し、1914年(大正3)に卒業、大阪に戻る。1915年(大正4)、再興第2回日本美術院展に《山の初夏》が初入選。1919年(大正8)、第6回二科展に《Nの家族》を出品し樗牛賞を受賞。翌年の《少女お梅の像》は二科賞を受け二科会友に推挙された。1921年(大正10)から翌年にかけて欧州遊学。1923年(大正12)には二科会員となり、また大阪市美術協会会員となった。1924年(大正13)に鍋井克之、国枝金三、黒田重太郎と信濃橋洋画研究所を開設して指導にあたるほか、美術誌『マロニエ』の編集にも携わる。1926年(大正15)、芦屋に転居。アトリエを新築して裸婦や静物画、ガラス絵に新境地を拓くが、持病の心臓病の発作で43歳で急逝した。
開催概要
展覧会名 | 小出楢󠄀重 新しき油絵 |
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会期 |
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会場 | 大阪中之島美術館 |
住所 | 530-0005 大阪府大阪市北区中之島4丁目3-1 Google Map |
展示室 | 大阪中之島美術館 4階展示室 |
時間 |
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休館日 |
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観覧料 |
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TEL | 大阪市総合コールセンター(なにわコール)06-4301-7285 【受付時間 8:00 – 21:00(年中無休)】 |
URL |
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主催 | 大阪中之島美術館 |
特別協力 | 芦屋市立美術博物館 |
助成 | 一般財団法人 安藤忠雄文化財団 |
関連イベント
講演会1「小出楢󠄀重―都市の肖像」
開催日時:2025年9月27日(土)14:00〜15:30
講師:山野英嗣(前和歌山県立近代美術館館長)
講演会2「小出楢重―100年前の大阪・危機意識(クリティシズム)の画家(仮)」
開催日時:2025年11月3日(月・祝)14:00〜15:30
講師:熊田司(美術史家)
会場:大阪中之島美術館 1階ホール
定員:150名
料金:無料
申込:当日受付。ただし本展の観覧券(半券可)が必要。
同時開催
コレクション特別展示「異文化との出会い(仮)」
小出楢󠄀重と同時代に西洋へ渡った日本人画家と、エコール・ド・パリを代表する画家の作品を、大阪中之島美術館コレクションから選りすぐり、ご紹介します。
※本展に出展の佐伯祐三 《煉瓦焼》、《郵便配達夫》、アメデオ・モディリアーニ 《髪をほどいた横たわる裸婦》は、「大阪の宝」の選定作品となります。
詳細は「大阪の宝」特設ページ をご確認ください。
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
※ご覧いただくには「小出楢󠄀重 新しき油絵」の観覧券が必要です。
広報用画像一覧
小出楢󠄀重 《Nの家族》(重要文化財) 1919年 公益財団法人大原芸術財団 大原美術館
小出楢󠄀重 《街景》 1925年 大阪中之島美術館
小出楢󠄀重 《裸女結髪》 1927年 京都国立近代美術館
小出楢󠄀重 《卓上静物》 1928年 京都国立近代美術館
小出楢󠄀重 《横たわる裸身》 1930年 石橋財団アーティゾン美術館
小出楢󠄀重 《枯木のある風景》 1930年 公益財団法人ウッドワン美術館
藤島武二 《カンピドリオのあたり》 1919年 大阪中之島美術館
※コレクション特別展示 出展予定作品佐伯祐三 《煉瓦焼》 1928年 大阪中之島美術館
※コレクション特別展示 出展予定作品佐伯祐三 《郵便配達夫》 1928年 大阪中之島美術館
※コレクション特別展示 出展予定作品アメデオ・モディリアーニ 《髪をほどいた横たわる裸婦》 1917年 大阪中之島美術館
※コレクション特別展示 出展予定作品キスリング 《オランダ娘》 1922年 大阪中之島美術館
※コレクション特別展示 出展予定作品ジュール・パスキン 《腰掛ける少女》 1925年 大阪中之島美術館
※コレクション特別展示 出展予定作品アトリエの小出楢󠄀重 1928年2月 画像提供:芦屋市立美術博物館
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