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堅山南風《大震災実写図巻》と
近代の画家 大観・玉堂・青邨・蓬春

開催期間会期

半蔵門ミュージアム(千代田区一番町25)にて、「堅山南風《大震災実写図巻》と近代の画家 大観・玉堂・青邨・蓬春」を2023年7月19日(水)より開催いたします。1923年の関東大震災から100年の節目をむかえる本年、堅山南風《大震災実写図巻》を展示します。巣鴨で被災した南風は浅草や上野に出向いて、被害状況や復興に至る様子を描き留め、のちに31枚の絵を3巻に仕立てました。その描写から、当時の人々の苦悩、悲哀や助け合いの様相が伝わります。あわせて、南風と同時代の画家、横山大観、川合玉堂、棟方志功、山田申吾、竹内栖鳳、鏑木清方、小杉放菴、前田青邨、山口蓬春の作品を初公開します。

堅山南風《大震災実写図巻》 上巻 
大地震 大正14(1925)年 
©Hisako Katayama 2023/JAA2300072
半蔵門ミュージアム蔵

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展覧会概要

大正12(1923)年9月1日関東大震災と呼ばれる災害が起きました。死者や行方不明者は10万人以上にのぼり、建物や交通などの被害も甚大でした。2023年の本年は、それから100年にあたります。

美術界も多大な影響を受け、東京や近郊に住んでいた画家の多くの作品も灰燼に帰してしまったのです。その一方で、震災の惨状を描いた画家もいました。彼らの代表的な作品として鹿子木孟郎(1874~1941)《大正十二年九月一日》、西村五雲(1877~1938)《関東大震災絵巻》、平塚運一(1895~1997)《東京震災跡風景》シリーズなどが知られていますが、今回展示する堅山南風(1887~1980)の《大震災実写図巻》も、そのひとつです。

巣鴨の自宅で被災した南風は、浅草や上野に出向いて、被害状況や復興に至る様子を描き留め、のちに31枚の絵を3巻に仕立てました。当時の人々の苦悩、悲哀や助け合いの様相が伝わってきます。序文に「かかる非常の時に吾等を慰め且つ精神上の苦痛より救玉ふは大慈悲の観世音菩薩である」と述べ、巻末に観音菩薩を描いて終えています。

  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》 上巻
    大地震 大正14(1925)年
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》上巻
    大紅蓮 大正14(1925)年
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》上巻
    凌雲閣飛散 大正14(1925)年
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》中巻
    貼札ヲ着タ銅像 大正14(1925)年
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072
    半蔵門ミュージアム蔵
堅山南風
明治20(1887)~昭和55(1980)年。熊本市に生まれる。本名は熊次。幼くして父母と死別し、祖父のもとで育つ。明治35(1902)年、熊本で開催された日本美術院展(院展)で、横山大観や菱田春草の作品に感銘を受けた。明治42年に上京し、歴史画家の高橋広湖のもとで苦学し、文部省美術展(文展)には4回連続して落選したが、大正2(1913)年に初入選。最高賞を受け一躍画壇の知るところとなった。この作品を強く推した横山大観に、大正3年に入門。同年、大観が中心となり日本美術院を再興した後は、再興院展を主な発表の場に定め、10年の月日を経て同人に推挙された。写生にもとづく花鳥や肖像画を描き、昭和43(1968)年には文化勲章を受章した。日光東照宮(栃木)朝陽閣の障壁画、輪王寺(栃木)薬師堂の天井画《鳴龍》の復元など。寺社を荘厳する仕事も、長い画業を通じて数多く手がけている。
あわせて、南風とほぼ同時代に活躍した、近代の日本画家による作品12点を展示します。会期前半の9月10日(日)までは、南風の師である横山大観(1868~1958)の《霊峰不二》をはじめ、川合玉堂(1873~1957)《渓山晩秋》、棟方志功(1903~1975)《十和田観湖岸之図》、山田申吾(1908~1977)《山峡》など、日本の風景を題材としたものです。9月13日(水)以降の会期後半は、竹内栖鳳(1864~1942)《猿乗駒》、鏑木清方(1878~1972)《芙蓉》、小杉放菴(1881~1964)《柳湾打漁》、前田青邨(1885~1977)《紅白梅》、山口蓬春(1893~1971)《春寒》など、人物や動植物の絵画を取り上げます。いずれも初めて紹介するものです。

また本年は、今回特集展示される近代作家のうち、川合玉堂が生誕150年、棟方志功が生誕120年、山口蓬春が生誕130年の節目という記念すべき年となっております。

見どころ
凌雲閣の倒壊や被害を拡大させた火事など、大地震発生直後の様子が生々しく描かれた「上巻」
1923(大正12)年9月1日に起きた関東大震災の当日は、堅山南風(1887~1980)が所属する日本美術院の展覧会初日で、南風は上野の会場に足を運んだ後、巣鴨の自宅で被災しました。その後、数日間さまざまな場所を訪れ、震災の惨状や復興へと向かう様子を追っています。地震の発生からその惨状、復興に向かう様子を描いた31図を、3巻に仕立てたのが《大震災実写図巻》です。依頼を受けて制作された作品ですが、さまざまな場所でスケッチを重ねていたと考えられます。上巻は、南風が画巻制作に向けた思いを記した「序」から始まり、大地震発生直後の様子が描かれています。地面が裂け、列車は横転し、浅草十二階と呼ばれた凌雲閣が倒壊する様子が生々しく描かれています。

避難生活、縁故者を探す様子、焼け野原、そして復興に向かう様子が描かれた「中巻」「下巻」
続く中巻では、避難する人々の姿を描いており、屋外での生活、怪我人の手当、家族を探す様子など、当時の混乱がうかがえます。上野公園にある西郷隆盛像の台座には、縁故者を探す貼り紙や立て札が掲げられています。下巻の前半は、被災者間の争いや、焼け野原のなかで棺を担ぐ人々など悲哀に満ちた場面が続きます。後半には、食糧の販売が始まり、店舗や家屋が建てられていく復興の様子が描かれています。

《大震災実写図巻》の最後に描いた観音菩薩
1923(大正12)年9月1日に起きた大地震を、「前兆」から「大悲乃力」まで31図にわたり描いていた《大震災実写図巻》。観察眼の際立つ記録画ですが、最後には複数の卒塔婆とともに「慈眼視衆生福聚海無量是故応頂礼 大正十四年夏 南風生写」と観音経の一節が記され、観音菩薩の姿を描きました。観音菩薩で絵巻を終えるところに、南風という日本画家の思いを探ることができます。

半蔵門ミュージアムについて
堅山南風《大震災実写図巻》下巻 大悲乃力 大正14(1925)年
©Hisako Katayama 2023/JAA2300072 半蔵門ミュージアム蔵


南風の師である横山大観、ほか同時代の日本画家らの作家を前後期にわけて初公開
関東大震災の当日、上野の院展会場を訪れた後、戻った巣鴨の自宅で激しい揺れに見舞われた南風ですが、翌日には師の安否を心配し、徒歩で上野池之端の横山大観邸へ向かい、無事を確認しています。その師の横山大観の代表作であり重要文化財の《生々流転》(1923年 東京国立近代美術館蔵)は、初日に関東大震災の起きた再興第10回院展への出品作でした。生涯を通じて富士山を主題とした絵を多く描いたことでも知られる横山大観の《霊峰不二》は、本展で初公開となります。昭和14年の作品で、手前に三保の松原、奥に冠雪の富士山を配しています。
その他、南風と同時代の画家、横山大観、川合玉堂、棟方志功、山田申吾、竹内栖鳳、鏑木清方、小杉放菴、前田青邨、山口蓬春らによる作品を前後期に分けて初公開します。


  • 画像説明横山大観《霊峰不二》
    昭和14(1939)年
    半蔵門ミュージアム蔵

  • 画像説明川合玉堂《渓山晩秋》
    昭和3(1928)年頃
    半蔵門ミュージアム蔵

  • 画像説明山口蓬春《春寒》
    昭和17~19(1942~1944)年頃
    ©公益財団法人JR東海生涯学習財団
    半蔵門ミュージアム蔵


【堅山南風の広報用画像について】 著作権の関係からご掲載を希望される際は、当館広報担当までお問い合わせください。

開催概要

会期
2023年7月19日(水)〜2023年11月5日(日)
会場 半蔵門ミュージアム
住所 東京都千代田区一番町25 Google Map
時間
10:00〜17:30(最終入館時間 17:00)
休館日
毎週月曜日・火曜日
観覧料
入場無料
TEL 03-3263-1752
URL
【半蔵門ミュージアム|公式サイト】
https://www.hanzomonmuseum.jp/
SNS
アクセス
・東京メトロ半蔵門線『半蔵門駅』下車 4番出口(地上1階)左すぐ
・東京メトロ有楽町線『麹町駅』下車 3番出口から徒歩5分
・JR『四ツ谷駅』下車 徒歩15分
※駐車場および駐輪場はございません

関連イベント

講演会「半蔵門ミュージアムの日本画を楽しむ-その魅力と画面に隠されたひみつ-」会場のみ
間近に見ることで感じることができる日本画家の息遣いをご一緒に見てみましょう。
8月26日(土)14:00~15:15
講師:笠 理砂氏(山口蓬春記念館副館長 兼 上席学芸主任)
会場:半蔵門ミュージアム3階ホール(定員40名)
対象:中学生以上 
参加費:無料
事前申込:期間 7月5日(水)~7月31日(月)

江戸歴史文化講座 特別講座「江戸琳派の伝統性と創造性」会場・オンライン併催
尾形光琳の作品に学び酒井抱一が形成した、いわゆる「江戸琳派」にみられる伝統と創造について探ります。
10月21日(土)14:00~15:30
講師:河合 正朝氏(慶應義塾大学名誉教授)
会場:半蔵門ミュージアム3階ホール(定員40名)
対象:中学生以上 
参加費:無料
事前申込:期間 8月30日(水)~9月25日(月)

【申込方法】当館公式サイトの「お知らせ」または「講演会/イベント」の申込みフォームからお申込みください。
【お問い合わせ先】講演会事務局 Tel 070-4369-8162 Email hanzomon-seminar@tts.co.jp 受付時間:10時~18時 ※土日祝日を除く

同時開催展

エドワード・S. カーティス《ズニ族の首長》 1905年頃

エドワード・S. カーティス
《ズニ族の首長》
1905年頃
清里フォトアートミュージアム蔵

写真コレクション展
「Platinum Print — 肖像の回廊」

会期:2023年7月19日(水)~11月5日(日)
会場:1階ギャラリー
プラチナ・プリントとは、19世紀に発明された古典技法のひとつです。多くの写真技法のなかでも、優美な色調と黒から白までの豊かな階調表現は比類なく、写真家を魅了してきました。
本展では、当館の姉妹館である清里フォトアートミュージアムが所蔵する1886年から2000年代までのプラチナ・プリント作品を展示いたします。100年に及ぶポートレイトの多様な写真表現をご覧いただくとともに、プラチナ・プリントの気品溢れる優美な色調、繊細な光のグラデーション、ディテールの豊かさをお楽しみください。

半蔵門ミュージアムについて

半蔵門ミュージアムについて
半蔵門ミュージアムは、真如苑が所蔵する仏教美術を一般に公開するために設立した文化施設で、2018年に開館いたしました。地下鉄「半蔵門駅」出口すぐの、都心の交通が簡便な場所にあり、入場料は無料です。

メインの地下展示室は常設・特集展示エリアからなり、歴史と信仰によって育まれてきた仏像や仏画などの仏教美術と静かに向き合っていただけます。積層する大理石(トラバーチン)の床、壁で構成され、信仰心を呼び起こす、精神性の高い石室のような空間です。ほとんどの展示品はガラスケースに入れておらず、直接鑑賞することができます。設計は平等院ミュージアム鳳翔館や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館などを手がけた建築家の栗生明氏によるものです。
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運慶作と推定される大日如来坐像
東京国立博物館の寄託から半蔵門ミュージアムの創設・展示へ
運慶作と推定される大日如来坐像

当館の代表的な所蔵作品に、運慶作と推定される重要文化財 大日如来坐像(鎌倉時代初期)があります。個人が所蔵していたこの像を、現在の当館館長である山本勉が調査したのは2003年のことです。まもなく像は東京国立博物館に寄託され、2004年4月の公開と同時に、山本が論文「新出の大日如来像と運慶」を発表して運慶作品である可能性を論じました。その後、2008年にNYでオークションにかけられ、運慶作品の国外流出危機という社会的な話題を呼びました。この際に文化財保護の観点から真如苑が像を購入、その年の夏から東京国立博物館の寄託に戻って再公開され、翌年の2009年には重要文化財に指定されました。やがて公開施設として、半蔵門ミュージアムが創設され、2018年から一般公開を開始し、大日如来像は展示室の中央に常設展示されています。

大日如来像の特色と仏師運慶
金剛界の大日如来像は、智慧の象徴である智拳印を結んでいます。現在は失われていますが、当初は宝冠や胸飾・瓔珞などで荘厳されていたのでしょう。像の作風は平安時代末期、鎌倉時代前期に活躍した仏師運慶(?~1223)の作品、とくに運慶が文治5(1189)年に造った神奈川県横須賀市・浄楽寺阿弥陀三尊像と共通しています。像内は上げ底式内刳りと呼ばれる技法で密閉され、五輪塔形の木札や仏像の魂といえる心月輪(水晶珠)などが納められていますが、この技法は浄楽寺にみられるるものです。これらの観点から像は、記録にみえる足利義兼(?~1199)が建久4(1193)年に足利・樺崎寺(現在廃寺)下御堂に造った大日如来像にあたると考えられています。

大日如来像のひみつ
大日如来像内の納入品は、2003年に撮影されたX線写真によって確認されましたが、その後のさらなる科学調査によって詳細が報告されています。像内の中央部には、上部を五輪塔形にかたどり、彩色して種子を書き、基部には梵字の陀羅尼を書いた木札が立てられており、その半ばの高さには水晶珠が留められており、その横には舎利を籠めた五輪塔形容器が位置すること、下方には紐束のはいった袋があることなどが明らかになってまいりました。当館では、これらの詳細も展示紹介しております。

細江英公「薔薇刑 #32」1961

細江英公《薔薇刑 作品32》
1961年
©Eikoh Hosoe
清里フォトアートミュージアム蔵

写真コレクション展 開催中
当館の姉妹館である清里フォトアートミュージアム館長 細江英公氏の写真展が開催中
会期:2023年7月9日(日)まで
会場:1階ギャラリーにて
https://www.hanzomonmuseum.jp/news/2023/04/1-1.html

半蔵門ミュージアム紹介

広報用画像一覧

  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》 上巻 
    大地震 大正14(1925)年 
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》 上巻
    大紅蓮 大正14(1925)年 
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072 
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》 上巻
    凌雲閣飛散 大正14(1925)年 
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072 
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》 中巻
    市中ノ混雑 大正14(1925)年 
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072 
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》 中巻
    貼札ヲ着タ銅像 大正14(1925)年 
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072 
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明堅山南風《大震災実写図巻》 下巻
    大悲乃力 大正14(1925)年 
    ©Hisako Katayama 2023/JAA2300072 
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明横山大観《霊峰不二》 
    昭和14(1939)年 
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明川合玉堂《渓山晩秋》
    昭和3(1928)年頃 
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明山口蓬春《春寒》
    昭和17~19(1942~1944)年頃 
    ©公益財団法人JR東海生涯学習財団
    半蔵門ミュージアム蔵
  • 画像説明エドワード・S. カーティス
    《ズニ族の首長》
    1905年頃
    清里フォトアートミュージアム蔵
  • 画像説明細江英公《薔薇刑 作品32》
    1961年 
    ©Eikoh Hosoe 
    清里フォトアートミュージアム蔵
  • 画像説明

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