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特別展
足利樺崎寺と運慶 ―二体の大日如来像―

開催期間会期

半蔵門ミュージアムでは、運慶作と推定される二体の大日如来坐像と樺崎寺(かばさきでら)ゆかりの資料を紹介する特別展「足利樺崎寺と運慶 ―二体の大日如来像―」を2026年10月24日から12月20日まで開催します。当館所蔵の木造大日如来坐像(重要文化財)は、足利市にかつてあった樺崎寺に伝来した可能性があり、運慶作と推定されています。本展では、光得寺所蔵の同じく運慶作と推定される大日如来像をあわせて展示し、樺崎寺ゆかりの二体が一堂に会します。これにより、鎌倉時代初期の運慶の動向や足利氏が開いた樺崎寺の特色を考える貴重な機会となります。

重要文化財 大日如来坐像 鎌倉時代 建久4(1193)年か 半蔵門ミュージアム 撮影:佐々木香輔

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展覧会概要

半蔵門ミュージアムに収蔵・常設展示している木造大日如来坐像(重要文化財)は、栃木県足利市にかつてあった樺崎寺(かばさきでら)の仏像と考えられ、運慶作と推定されています。この像と関係がきわめて深いのが、明治初年に樺崎寺赤御堂の後身樺崎八幡宮から市内・光得寺に移された厨子入り木造大日如来坐像(重要文化財)で、やはり運慶作と推定されています。

今回の特別展では、光得寺大日如来像に半蔵門ミュージアムへお出ましいただき、樺崎寺ゆかりの二体の大日如来像が相まみえる機会を実現します。まだ不明の点を残す建久年間(1190~99)の運慶の動向や足利氏が開いた樺崎寺の創建期の実態を考えるよい機会となるはずです。また、鑁阿寺所蔵の重要文化財鑁阿寺文書のうち、鑁阿寺・樺崎寺の重要史料である『鑁阿寺樺崎縁起幷仏事次第』や、樺崎寺に伝来した可能性のある他の仏像等も合わせて展示し、二体の像の造像背景や関連する問題も提示いたします。


本展のみどころ
二体の大日如来像がその姿を揃えます
樺崎寺に由来し、運慶作と推定される二体の大日如来像を半蔵門ミュージアムで同時に拝することのできる機会です

重要文化財 大日如来坐像 鎌倉時代 建久4(1193)年か 半蔵門ミュージアム 撮影:佐々木香輔 重要文化財 厨子入り大日如来坐像 鎌倉時代 12世紀 光得寺

(左)重要文化財 大日如来坐像 鎌倉時代 建久4(1193)年か 半蔵門ミュージアム 撮影:佐々木香輔
(右)重要文化財 厨子入り大日如来坐像 鎌倉時代 12世紀 光得寺


二体の大日如来像の由来を記す『鑁阿寺樺崎縁起幷仏事次第』(鑁阿寺文書)
室町時代、15世紀に記録された『鑁阿寺樺崎縁起幷仏事次第』(重要文化財鑁阿寺文書のうち)には、それぞれの大日如来像にかかわると考えられる記載が見られます
半蔵門ミュージアム大日如来像に関しての記述 光得寺大日如来像に関しての記述
半蔵門ミュージアム大日如来像に関するとみられる記述(左)
下御堂の堂の下には同じ日に亡くなった瑠璃王御前・薬寿御前の兄弟二人の骨を埋め、二人のために三尺の金剛界大日如来像を造った。その厨子には建久4(1193)年の願文があった
光得寺大日如来像に関するとみられる記述(右)
足利義兼は信仰のあまり、三尺七寸の厨子のなかに金剛界大日如来像と三十七尊の像を造った
樺崎寺の存在を示す史料の展示
室町時代、15世紀の鑁阿寺一山十二坊図の図中には、樺崎寺(樺崎八幡宮)が描かれています
鑁阿寺一山十二坊図 室町時代 十五世紀 鑁阿寺 鑁阿寺一山十二坊図(部分) 室町時代 十五世紀 鑁阿寺

(左)鑁阿寺一山十二坊図 室町時代 15世紀 鑁阿寺
(右)鑁阿寺一山十二坊図(部分) 室町時代 15世紀 鑁阿寺



本展開催の経緯
1986年、東京国立博物館研究員であった山本勉(現半蔵門ミュージアム館長)は、大学生大澤慶子氏(現文星芸術大学教授)の案内で光得寺の厨子入り大日如来像を調査しました。像の形態は、足利義兼ゆかりの史料『鑁阿寺樺崎縁起幷仏事次第』に記される「三十七尊を従える厨子入り大日如来」と一致し、X線写真で判明した像内納入品も運慶作例と通じていたことから、1988年の論文発表を機に光得寺像は重要文化財となり、運慶研究の重要な資料となりました。
17年後の2003年、山本の前に光得寺像によく似た大日如来像が突如現れます。像容や上げ底式内刳りなどの構造技法、台座との接合のための像底金具、X線写真で判明する像内納入品などの共通点から光得寺像と無関係の像とは考えられず、三尺坐像の法量をもつこともあって『鑁阿寺樺崎縁起幷仏事次第』に記される「三尺皆金色大日如来」に比定され、2体の像はいずれも足利義兼のために運慶が造像したものである可能性が浮上しました。
2008年、新出像は海外オークションに出品され国外流出の危機に直面しましたが、真如苑が文化財を未来へ残す理念のもと取得し、国内に留まりました。やがて、この像は重要文化財となり、2018年に開館した半蔵門ミュージアムで常設公開しています。
両像が伝来した可能性のある樺崎寺は、足利氏の氏寺鑁阿寺の奥院として、また足利義兼の廟所・祈願寺として重んじられ、室町期には将軍家の祈祷が行われていた記録が残ります。今回出展される文和3(1354)年の「足利尊氏御判御教書」は、足利尊氏が樺崎寺別当に「天下静謐の祈祷」を行うことを認めると共に、今後も懇ろに祈るよう命じたものです。
この特別展は、光得寺、鑁阿寺等から貴重な作品・資料のご出品をいただき、毎日新聞社との共同主催、足利市・足利市教育委員会・下野新聞社の後援により実現したもので、40年にわたる運慶研究の結晶であるとともに、室町幕府を築いた足利一門を祀る中世寺院、樺崎寺を仏像と関連史料で辿る貴重な機会となるでしょう。

開催概要

展覧会名特別展「足利樺崎寺と運慶 ―二体の大日如来像―」
会期
2026年10月24日(土)〜2026年12月20日(日)
前期2026年10月24日(土)〜2026年11月22日(日)
後期2026年11月25日(水)〜2026年12月20日(日)
会場 半蔵門ミュージアム
住所 102-0082 東京都千代田区一番町25 Google Map
時間
10:00~17:30(入館は17:00まで)
【運慶ナイト(夜間開館) 開催日:10月30日(金)、11月20日(金)、12月18日(金)】
10:00~20:00(入館は19:30まで)
休館日
毎週月曜日・火曜日 ※ただし、11月3日(祝)は開館
入場料
無料
TEL 03-3263-1752
URL
【半蔵門ミュージアム|公式サイト】
https://www.hanzomonmuseum.jp
URL2
【半蔵門ミュージアム|公式サイト 展覧会詳細ページ】
https://www.hanzomonmuseum.jp/news/2026/03/post-120.html
SNS
主催 半蔵門ミュージアム、毎日新聞社
特別協力 臨済宗妙心寺派菅田山光得寺、真言宗大日派金剛山仁王院法華坊鑁阿寺
後援 足利市、足利市教育委員会、下野新聞社
協力 公益財団法人美術院、一般社団法人三乗堂
アクセス
・東京メトロ半蔵門線『半蔵門駅』下車 4番出口(地上1階)左すぐ
・東京メトロ有楽町線『麹町駅』下車 3番出口から徒歩5分
・JR『四ツ谷駅』下車 徒歩15分
※駐車場および駐輪場はございません。
※都合により、展覧会およびイベント等が中止または変更となる場合がございます。
最新情報は、当館公式サイトをご覧ください。

イベント(特別講演会・特別対談)

イベントはいずれも、
会場:半蔵門ミュージアム3階ホール(定員60名)
対象:中学生以上
参加費:無料

特別講演会 会場・オンライン併催予定
日時:2026年11月7日(土)
14:00~15:00 第一部
15:10~16:10 第二部
講師:
第一部 大澤 伸啓氏(足利市教育委員会、史跡足利学校研究員・学芸員)
第二部 山本 勉(半蔵門ミュージアム館長)
※特別講演会の詳細は準備が出来次第、公式サイトで御案内させていただきます

特別対談 会場・オンライン併催
日時:2026年12月5日(土)14:00~15:30
講師:山本 勉(半蔵門ミュージアム館長) × 大澤 慶子氏(文星芸術大学美術学部美術学科教授)
司会進行:山田美季(半蔵門ミュージアム主任学芸員)
※特別対談の詳細は準備が出来次第、公式サイトで御案内させていただきます

上記2つの講演会の申込方法:
当館公式サイトの「お知らせ」または「講演会/イベント」の申込みフォームからお申込みください。
※事前申込の方法や詳細は、追って情報を掲載予定です。
【講演会に関するお問い合わせ先】
イベント事務局 Tel 090-9544-9572 受付時間:10時~18時 *土日祝日を除く Email event@faith-web.net

半蔵門ミュージアムについて

半蔵門ミュージアムについて
半蔵門ミュージアムは、真如苑が所蔵する仏教美術を一般に公開するために設立した文化施設で、2018年に開館いたしました。地下鉄「半蔵門駅」出口すぐの、都心の交通が簡便な場所にあり、入場料は無料です。

メインの地下展示室は常設・特集展示エリアからなり、歴史と信仰によって育まれてきた仏像や仏画などの仏教美術と静かに向き合っていただけます。積層する大理石(トラバーチン)の床、壁で構成され、信仰心を呼び起こす、精神性の高い石室のような空間です。ほとんどの展示品はガラスケースに入れておらず、直接鑑賞することができます。設計は平等院ミュージアム鳳翔館や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館などを手がけた建築家の栗生明氏によるものです。
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運慶作と推定される大日如来坐像
東京国立博物館の寄託から半蔵門ミュージアムの創設・展示へ
運慶作と推定される大日如来坐像

当館の代表的な所蔵作品に、運慶作と推定される重要文化財 大日如来坐像(鎌倉時代初期)があります。個人が所蔵していたこの像を、現在の当館館長である山本勉が調査したのは2003年のことです。まもなく像は東京国立博物館に寄託され、2004年4月の公開と同時に、山本が論文「新出の大日如来像と運慶」を発表して運慶作品である可能性を論じました。その後、2008年にNYでオークションにかけられ、運慶作品の国外流出危機という社会的な話題を呼びました。この際に文化財保護の観点から真如苑が像を購入、その年の夏から東京国立博物館の寄託に戻って再公開され、翌年の2009年には重要文化財に指定されました。やがて公開施設として、半蔵門ミュージアムが創設され、2018年から一般公開を開始し、大日如来像は展示室の中央に常設展示されています。

大日如来像の特色と仏師運慶
金剛界の大日如来像は、智慧の象徴である智拳印を結んでいます。現在は失われていますが、当初は宝冠や胸飾・瓔珞などで荘厳されていたのでしょう。像の作風は平安時代末期、鎌倉時代前期に活躍した仏師運慶(?~1223)の作品、とくに運慶が文治5(1189)年に造った神奈川県横須賀市・浄楽寺阿弥陀三尊像と共通しています。像内は上げ底式内刳りと呼ばれる技法で密閉され、五輪塔形の木札や仏像の魂といえる心月輪(水晶珠)などが納められていますが、この技法は浄楽寺にみられるものです。これらの観点から像は、記録にみえる足利義兼(?~1199)が建久4(1193)年に足利・樺崎寺(現在廃寺)下御堂に造った大日如来像にあたると考えられています。

大日如来像のひみつ
大日如来像内の納入品は、2003年に撮影されたX線写真によって確認されましたが、その後のさらなる科学調査によって詳細が報告されています。像内の中央部には、上部を五輪塔形にかたどり、彩色して種子を書き、基部には梵字の陀羅尼を書いた木札が立てられており、その半ばの高さには水晶珠が留められており、その横には舎利を籠めた五輪塔形容器が位置すること、下方には紐束のはいった袋があることなどが明らかになってまいりました。当館では、これらの詳細も展示紹介しております。

また、当館の運慶作とされる大日如来坐像について当館館長が語る「インタビュー」もご参考にしてください。

広報用画像一覧

  • 画像説明重要文化財 大日如来坐像 鎌倉時代 建久4(1193)年か 半蔵門ミュージアム 撮影:佐々木香輔
  • 画像説明重要文化財 厨子入り大日如来坐像 鎌倉時代 12世紀 光得寺
  • 画像説明重要文化財 鑁阿寺樺崎縁起幷仏事次第(鑁阿寺文書) 室町時代 15世紀
    (上)半蔵門ミュージアム像 該当部分(下)光得寺像 該当部分
  • 画像説明重要文化財 足利尊氏御判御教書(鑁阿寺文書) 南北朝時代 文和3(1354)年
  • 画像説明地蔵菩薩坐像 鎌倉時代 13世紀 光得寺
  • 画像説明伝鑁阿上人自画像 室町時代 16世紀 鑁阿寺
  • 画像説明鑁阿寺一山十二坊図 室町時代 15世紀 鑁阿寺
  • 画像説明鑁阿寺一山十二坊図(部分) 室町時代 15世紀 鑁阿寺
  • 画像説明青白磁四耳壺 中国・南宋時代 12世紀 足利市教育委員会
  • 画像説明三鈷杵文 軒平瓦 平安~鎌倉時代 12~13世紀 足利市教育委員会
  • 画像説明樺崎寺跡復元イメージ
  • 画像説明特別展「足利樺崎寺と運慶 ―二体の大日如来像―」予告チラシ

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