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特集展示
阿弥陀仏 ―おわす・みちびく・あらわれる―

開催期間会期

半蔵門ミュージアムでは、特集展示「阿弥陀仏 ―おわす・みちびく・あらわれる―」を2025年9月13日(土)より開催いたします。今期の特集展示は、西方極楽浄土の教主である阿弥陀如来(あみだにょらい)に注目します。阿弥陀如来は、極楽に往生(行って生まれること)したいと思う者を必ず迎え取るという誓願をたてたことから、他の浄土にもまして人々の信仰を集めました。修理が完成したばかりの阿弥陀如来立像と、浄土真宗独特の本尊である方便法身像のほか、衆生を極楽に導く様子が表された仏画、阿弥陀三尊来迎図や阿弥陀聖衆来迎図、阿弥陀如来のおわします極楽の光景を描く浄土図、当麻曼荼羅や清海曼荼羅などを展示します。

阿弥陀如来立像 平安時代 12世紀

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展覧会概要

今期の特集展示は、西方極楽浄土の教主である阿弥陀如来に注目します。大乗仏教では宇宙にはたくさんの仏陀がおり、それぞれ自分の国=仏国土を主宰していると考えています。仏国土は清らかなので、浄土とも呼ばれました。浄とは「清い」という意味です。
阿弥陀如来の浄土は「極楽」という名称です。そこには苦しみがなく、楽しいことで満たされているからです。阿弥陀如来はそこにおわします。極楽に往生(行って生まれること)したいと思う者を必ず迎え取るという誓願をたてたことから、他の浄土にもまして人々の信仰を集めることとなりました。

阿弥陀信仰は日本には早くも飛鳥時代に伝来し、造像が始まりました。奈良時代には彫像のほか、大画面の阿弥陀浄土図が描かれていたことも記録に残っています。平安時代前期に密教が到来すると、阿弥陀如来は西を代表する仏陀として両界曼荼羅に登場します。平安時代後期には、末法到来の世相を背景に極楽往生の願望が高まり、阿弥陀如来像と対面して修行するための阿弥陀堂が盛んに造営されました。また、阿弥陀如来が極楽から迎えに来る情景を描く来迎図は、まだ定型化されない多様性を見せます。
鎌倉時代になると、専ら阿弥陀如来のみを信仰する、浄土宗や浄土真宗のような浄土教系の新しい宗派が生まれ、阿弥陀如来の名前を口で唱える平易な修行法「口称(くしょう)念仏」が普及して、その本尊の定型的な阿弥陀如来像も多数造られます。阿弥陀がこの世にあらわれる姿です。

阿弥陀聖衆来迎図 室町時代 15世紀 半蔵門ミュージアム蔵

阿弥陀聖衆来迎図

展示はまず、修理が完成した阿弥陀如来像のお披露目から始まります。浄土教系の仏堂の本尊として、最も多く造られた「三尺阿弥陀」の一例です。次に、浄土真宗独特の本尊である方便法身(ほうべんほっしん)像を紹介します。正面を向いて虚空に一人立つ阿弥陀如来が、全身から金色の光を放ち世界を照らしています。

来迎図では、諸尊が雲にのって飛来します。展示する2点の阿弥陀三尊来迎図は、ともに聖衆(しょうじゅ)として観音菩薩と勢至菩薩を伴っており、鎌倉時代後期以降に流行したタイプの作例です。一方、阿弥陀聖衆来迎図では、奏楽菩薩を交えた10名の聖衆が阿弥陀如来を囲んでいます。このような阿弥陀十一尊来迎図は、のちに融通念仏宗の本尊となりました。阿弥陀は人びとをみちびくのです。
(右図)阿弥陀聖衆来迎図 室町時代 15世紀 半蔵門ミュージアム蔵
美しい色彩で描かれた「阿弥陀聖衆来迎図」。人が亡くなるとき、阿弥陀如来が西にある極楽浄土から迎えにくる、という考え方があり、この仏画では、画面左上から、阿弥陀如来の一行が降りてくる様子が描かれます。阿弥陀如来の周りには鼓や琵琶(びわ)、笛など、さまざまな楽器を演奏する菩薩がさながら音楽隊のように描かれています。
当麻曼荼羅と清海曼荼羅
当麻(たいま)曼荼羅と清海(せいかい)曼荼羅は、極楽の光景を描く浄土図です。いずれも原本は、中国で8世紀頃に成立したと推測されています。壮麗な宮殿の建築スタイルや珍しい植物が異国情緒を漂わせており、極楽への憧れをかきたてます。
清らかな浄土で教えを説き、苦しむ衆生を導いて、救いをもたらす阿弥陀如来。その限りない慈悲に包まれたいと思います。

(左)当麻曼荼羅 室町時代 16世紀、(右)清海曼荼羅 江戸時代 17~19世紀
(左)当麻曼荼羅 室町時代 16世紀、(右)清海曼荼羅 江戸時代 17~19世紀

阿弥陀如来立像(木造 漆箔 平安時代 12世紀)<

阿弥陀如来立像 平安時代 12世紀

新収蔵品のお披露目 阿弥陀如来立像(平安時代 12世紀)
新たに当館の収蔵品にくわわり修理を終えたばかりの、阿弥陀如来立像は初公開です。
修理前は経年の劣化により半解体状態で、失われた部材や後補に替わった部分もありましたが、錆漆下地の上に漆箔を施した当初の表層部を随所にとどめているのは貴重です。量感を控えた肉身部や、両脚間に集まるY字形の衣文を浅く刻む表現などには平安時代後期の様式が濃厚です。一方でややつり上がった目元、 わずかに張り出した肩や膨らみのある腹部の造形には、新たな時代の胎動が感じられます。 これらから製作年代は鎌倉時代にはいろうとする12世紀第三四半期頃とみられます。
本像のように髪際高を三尺(約90㎝)に整えた大きさの阿弥陀如来立像は三尺阿弥陀と呼ばれます。鎌倉時代に入り浄土宗や浄土真宗など浄土教系の仏堂の本尊として数多く造像されるようになりましたが、平安時代に遡る作例は貴重です。


常設展示
仏涅槃図(部分) 江戸時代 17世紀

【特別展示】仏涅槃図(部分)江戸時代 17世紀

ガンダーラの仏伝浮彫、鎌倉時代初期の仏師運慶作と推定される大日如来坐像(重要文化財)、醍醐寺ゆかりの不動明王坐像、如意輪観音菩薩坐像、二童子像を常設展示しています。また、金色で釈尊を描いた「仏涅槃図」を9月13日(土)から12月28日(日)まで特別展示いたします。
展示室:地下1階

開催概要

展覧会名阿弥陀仏 ―おわす・みちびく・あらわれる―
英語表記Amitābha Buddha: Resides, Guides, and Manifests
会期
2025年9月13日(土)〜2025年12月28日(日)
会場 半蔵門ミュージアム
住所 102-0082 東京都千代田区一番町25 Google Map
時間
10時~17時30分(入館は17時まで)
休館日
毎週月曜日・火曜日
入場料
無料
TEL 03-3263-1752
URL
【半蔵門ミュージアム|公式サイト】
https://www.hanzomonmuseum.jp
SNS
アクセス
・東京メトロ半蔵門線『半蔵門駅』下車 4番出口(地上1階)左すぐ
・東京メトロ有楽町線『麹町駅』下車 3番出口から徒歩5分
・JR『四ツ谷駅』下車 徒歩15分
※駐車場および駐輪場はございません。
※都合により、展覧会およびイベント等が中止または変更となる場合がございます。
最新情報は、当館公式サイトをご覧ください。

イベント

イベントはいずれも、
会場:半蔵門ミュージアム3階ホール(定員60名)
対象:中学生以上
参加費:無料

講演会「興福寺北円堂諸像と運慶の時空」会場・オンライン併催
運慶(?~1223)晩年の名作、興福寺北円堂の諸像が東京国立博物館で展示される(9/9~11/30)機会に、日本仏像史上最大の巨匠の集大成ともいうべき造形世界を検証する。
日時:10月26日(日)14:00~15:30
講師:山本 勉(当館館長)
※事前申込(期間:会場聴講 8月20日〜9月26日、オンライン聴講 8月20日〜10月25日)

講演会「来迎思想の源流と展開」会場・オンライン併催
誰もがいずれはこの世での命を終えます。人びとを捉えた理想的な臨終とは?
阿弥陀仏が浄土に往生しようと願う人の臨終時に迎えに来る、そのことを「来迎」と言いますが、来迎思想の源流と展開を辿ってみたいと思います。これは来迎図の背後にある考え方を探る試みでもあります。
日時:11月16日(日)14:00~15:30
講師:入澤 崇氏(学校法人龍谷大学 理事長)
※事前申込(期間:会場聴講 8月20日〜9月26日、オンライン聴講 8月20日〜11月15日)

※ 上記2つの講演会の申込方法
当館公式サイトの「お知らせ」または「講演会/イベント」の申込みフォームからお申込みください(追って情報掲載予定)
【講演会に関するお問い合わせ先】
イベント事務局 Tel 090-9544-9572 受付時間:10時~18時 *土日祝日を除く Email event@faith-web.net

特別対談「新収 阿弥陀如来立像の修理をめぐって」会場・オンライン併催
このたび新たに半蔵門ミュージアムに収蔵された阿弥陀如来立像の公開を記念し、修復を手がけられた仏像彫刻・修復家の宮木菜月氏をお招きして、特別対談を開催いたします。
修理の過程で明らかとなった造像の技法や、仏像に秘められた魅力に迫ります。
日時:11月29日(土)14:00~15:00
講師:宮木菜月氏(仏像彫刻・修復家) × 山田美季(当館客員研究員)
※会場聴講は、事前申込不要(当日先着順)
※オンライン聴講URLは、公式サイトに掲載いたします。

スライドレクチャー「展示品の見どころ紹介」会場のみ
仏画について
特集展示作品の特徴や見どころを、スライドを用いて分かりやすくご説明いたします。
日時:10月4日(土)14:00~14:40 
講師:吉田 典代(当館上席客員研究員)

半蔵門ミュージアムについて

半蔵門ミュージアムについて
半蔵門ミュージアムは、真如苑が所蔵する仏教美術を一般に公開するために設立した文化施設で、2018年に開館いたしました。地下鉄「半蔵門駅」出口すぐの、都心の交通が簡便な場所にあり、入場料は無料です。

メインの地下展示室は常設・特集展示エリアからなり、歴史と信仰によって育まれてきた仏像や仏画などの仏教美術と静かに向き合っていただけます。積層する大理石(トラバーチン)の床、壁で構成され、信仰心を呼び起こす、精神性の高い石室のような空間です。ほとんどの展示品はガラスケースに入れておらず、直接鑑賞することができます。設計は平等院ミュージアム鳳翔館や国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館などを手がけた建築家の栗生明氏によるものです。
施設画像ダウンロードはこちらから


運慶作と推定される大日如来坐像
東京国立博物館の寄託から半蔵門ミュージアムの創設・展示へ
運慶作と推定される大日如来坐像

当館の代表的な所蔵作品に、運慶作と推定される重要文化財 大日如来坐像(鎌倉時代初期)があります。個人が所蔵していたこの像を、現在の当館館長である山本勉が調査したのは2003年のことです。まもなく像は東京国立博物館に寄託され、2004年4月の公開と同時に、山本が論文「新出の大日如来像と運慶」を発表して運慶作品である可能性を論じました。その後、2008年にNYでオークションにかけられ、運慶作品の国外流出危機という社会的な話題を呼びました。この際に文化財保護の観点から真如苑が像を購入、その年の夏から東京国立博物館の寄託に戻って再公開され、翌年の2009年には重要文化財に指定されました。やがて公開施設として、半蔵門ミュージアムが創設され、2018年から一般公開を開始し、大日如来像は展示室の中央に常設展示されています。

大日如来像の特色と仏師運慶
金剛界の大日如来像は、智慧の象徴である智拳印を結んでいます。現在は失われていますが、当初は宝冠や胸飾・瓔珞などで荘厳されていたのでしょう。像の作風は平安時代末期、鎌倉時代前期に活躍した仏師運慶(?~1223)の作品、とくに運慶が文治5(1189)年に造った神奈川県横須賀市・浄楽寺阿弥陀三尊像と共通しています。像内は上げ底式内刳りと呼ばれる技法で密閉され、五輪塔形の木札や仏像の魂といえる心月輪(水晶珠)などが納められていますが、この技法は浄楽寺にみられるものです。これらの観点から像は、記録にみえる足利義兼(?~1199)が建久4(1193)年に足利・樺崎寺(現在廃寺)下御堂に造った大日如来像にあたると考えられています。

大日如来像のひみつ
大日如来像内の納入品は、2003年に撮影されたX線写真によって確認されましたが、その後のさらなる科学調査によって詳細が報告されています。像内の中央部には、上部を五輪塔形にかたどり、彩色して種子を書き、基部には梵字の陀羅尼を書いた木札が立てられており、その半ばの高さには水晶珠が留められており、その横には舎利を籠めた五輪塔形容器が位置すること、下方には紐束のはいった袋があることなどが明らかになってまいりました。当館では、これらの詳細も展示紹介しております。

また、当館の運慶作とされる大日如来坐像について当館館長が語る「インタビュー」もご参考にしてください。

広報用画像一覧

  • 画像説明阿弥陀如来立像 平安時代 12世紀
    (作品解説)新収蔵:平安後期にさかのぼる三尺阿弥陀の貴重な作例です
  • 画像説明阿弥陀如来立像(部分) 平安時代 12世紀
  • 画像説明阿弥陀如来像(方便法身像) 室町時代 15~16世紀
    (作品解説)浄土真宗の本尊像で、虚空に立つ阿弥陀如来が、全身から光を放ち世界を照らしています
  • 画像説明阿弥陀三尊像(善光寺式) 江戸時代 17~18世紀
    (作品解説)善光寺の本尊を絵画で表した珍しい作品。礼拝する男女の姿を添えるのは、絵画ならでは
  • 画像説明阿弥陀三尊来迎図 室町時代 16世紀
    (作品解説)鎌倉時代以降流行した典型的な三尊形式の来迎図。身体・着衣を金色とする皆金色(かいこんじき)像です
  • 画像説明阿弥陀聖衆来迎図 室町時代 15世紀
  • 画像説明当麻曼荼羅 室町時代 16世紀
    (作品解説)仏菩薩の姿を細密な筆致で描き出し、右下に僧形の中将姫を配します
  • 画像説明清海曼荼羅 江戸時代 17~19世紀
    (作品解説)超昇寺の清海が996年に感得した阿弥陀浄土図の写しで、周囲の蓮華に経文の要約を記します
  • 画像説明仏涅槃図 江戸時代 17世紀
    (作品解説・常設展示)沙羅双樹の下で入滅した釈尊と、嘆き悲しむ菩薩や仏弟子、動物などを描きます

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