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ギンザ・グラフィック・ギャラリー第413回企画展
TDC 2026
TOKYO TYPE DIRECTORS CLUB EXHIBITION 2026

開催期間会期

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1)にて、「ギンザ・グラフィック・ギャラリー第413回企画展 TDC 2026」を2026年4月3日(金)より開催いたします。「文字や言葉の視覚表現」を軸に開催するグラフィックデザインの国際賞「東京TDC賞」は、1990年より毎年開催し、今年36回目を迎えます。TDC展2026では、その中から、受賞作品とノミネート作品を中心に特に評価の高かった約120作品を展覧します。

[ グランプリ ]
Veronika Burian + José Scaglione「 Futura®100 Multiscript」 (CL. TypeTogether)

この展覧会の
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展覧会概要

「文字や言葉の視覚表現」を軸に開催するグラフィックデザインの国際賞「東京TDC賞」は、1990年より毎年開催し、今年36回目を迎えます。
この度の応募には、2025年8月1日から10月1日までの期間に、国内外から大変に質の高い3605作品(国内1649作品、海外1956作品)が寄せられました。メインカテゴリーの審査員30名によるデータや作品実物の長期の審査、またタイプデザイン部門選考委員16名(専門8名+ゲスト8名)、オンスクリーン部門審査員9名による専門分野の審査とあわせ、487の入選作品と、11の受賞作品、63のノミネート作品が決定しました。
ここにご案内するTDC展2026では、その中から、受賞作品とノミネート作品を中心に特に評価の高かった約120作品を展覧します。今年も文字の視覚表現という根底にあるテーマにふさわしい新しく優れた作品が揃いました。


東京TDC賞 2026 受賞作品のご紹介
グランプリ
歴史的ラテン書体Futuraの多言語展開、非ラテン文字への拡張。
作品「Futura®100 Multiscript」
受賞者 (TD / Type Director) = Veronika Burian + José Scaglione
クライアント= TypeTogether

受賞コメント
TypeTogetherは、世界で最もよく知られるジオメトリックなサンセリフの一つであるパウル・レナーの象徴的書体Futura®100を、これまでで最多となる12のスクリプトと多言語に展開した。対応スクリプトには、アラビア、アルメニア、キリル、ジョージア、ギリシャ、ヘブライ、クメール、ラオ、ラテン、ミャンマー、パンアフリカン・ラテン、タイが含まれる。今後は世界人口の90%以上をカバーする言語への対応が予定されており、刷新されたFutura®100は、歴史的文脈を内省的に捉えつつ、グローバルに適用可能で、かつスタイル面でも包括的な書体ファミリーとなっている。
Futura®100の新バージョン開発には主に二つの理由がある。第一に言語対応の拡張で、これまで限られたスクリプトしか存在しなかったが、2025年に12スクリプトが公開、26年には更に11スクリプトが追加される予定である。第二に、精度と表現力を高め、デジタルパブリッシングの要件により適合させるためである。書体ファミリーは6ウエイトで構成され、対応するオブリーク体およびオプティカルサイズのバリエーションも備えている。最大の課題の一つは、アラビア語やタイ語といった非西洋系スクリプトに、世界的に著名なこの書体を移植することだった。各スクリプトには固有の標準数字や地域別字形があり、ペルシア数字、キリル文字におけるブルガリア語・セルビア語字形、ヘブライ文字におけるイディッシュ語やダゲシュ記号、アラビア文字におけるパシュトー語・ペルシア語字形などが含まれる。スクリプトに応じてスモールキャップやイタリックも収録され、アルメニアの永遠の象徴など、文化的イコノグラフィーを反映した字形も取り入れられている。

Futura®100の制作チームは以下のメンバーで構成されている。Paul Rennerによるオリジナルデザイン(Bauer Types S.L.とともに)を基盤とし、コンセプトおよびデザイン統括はVeronika BurianとJosé Scaglioneが担当。タイプデザインは、Azza Alameddine(アラビア)、Kostas Bartsokas(ギリシャ)、Yorlmar Campos(ラテン、パンアフリカン・ラテン)、Suppakit Chalermlarp(ラオ)、Vera Evstafieva(キリル)、Tom Grace(ラテン、ヘブライ)、Gor Jihanian(アルメニア)、Ben Mitchell(ミャンマー)、Ana Sanikidze(ジョージア)、Smich Smanloh(デザインディレクター:クメール、ラオ、タイ)、Sovichet Tep(クメール、ミャンマー)、Knaz Uiyamathiti(タイ)、Anuthin Wongsunkakon(デザインディレクター:クメール、ラオ、タイ)が担当している。コンサルタントには、Khajak Apelian(アルメニア)、Shani Avni(ヘブライ)、Gerry Leonidas(ギリシャ)、Ben Mitchell(東南アジア系スクリプト)、Krista Radoeva(キリル)、Akaki Razmadze(ジョージア)、Mamoun Sakkal(アラビア)、Donny Truong(ベトナム語サポート)、Taurai Valerie Mtake(パンアフリカン・ラテン)、Simon Cozens(テクニカルアドバイザー)、Viviana Monsalve(品質管理)、Joancarles Casasín(エンジニアリング)、Sovichet Tep(ミャンマーのエンジニアリング)、Radek Sidun(ラテンのカーニング)が名を連ねている。

ブックデザイン賞
アルファベット順に配列された26章。OK-RMの議論と研究と実験の場。
作品「A Meaningful Order」
受賞者 (TD / Type Director) = OK-RM (Oliver Knight and Rory McGrath)
クライアント= InOtherWords

受賞コメント
本書は、ロンドンとベルリンでオリヴァー・ナイトとローリー・マクグラス(OK-RM)、そしてジェームズ・ラングドンのあいだで交わされた対話から生まれたものである。一つのアイデアとして形を変えながら構想される中、いくつものアイデアが語られ、熟考され、不採用となった。物としての仕様が定まる前に、テキストが立ち現れ始めた。杭州での展覧会が実現したことで、その構想は集約され、明確な構造を得た。インダストリアル・デザインとして形にしていくためのやり取りが、ページに重みと具体性を与えた。最終段階では、内容と技術的な構成が呼応する「同期」を目指した共同作業となり、技術的条件の連なりが内容と調和するリズムを生み出している。
本書は、OK-RMによる 『A Meaningful Order(意味のある秩序)』であり、全328ページにわたって、デザインがもつ多様で分散した現実の新たな歴史を提示している。デザインされた対象をそれぞれのあり方に即して示すことで、視覚、素材、好奇心について語る――16年以上に及ぶOK-RMの膨大な活動のアーカイブから選ばれた作品群を、特別な色彩設計による石版印刷で再現した。
本書は、アカデミックな世界と距離を保ちながら、深い探究と実験を行うための場でもあり、具体的な事例や試作、モデルを生み出す。AからZまでの26章構成を通して、デザイナーならではの文章による対話が展開され、言語、方向性、物語性を自由に操り、表現すること自体を楽しむ姿勢がはっきりと示されている。また、ジャック・セルフへのロングインタビューやリラ・マツモトによる序文など、デザインの実践者であり思考者でもある編集者たちとの継続的な対話が収められている。
社会的な文脈でいえば、本書は日用品であり、同時に芸術作品でもある。形と文脈の関係から生まれるデザインされた物とその意味を問う。それは何をし、なぜそうするのか、どのようにして成り立つのか。そして、デザインされた物が生まれてくる文化、さらには新たに生み出しうる文化とどのように関わるのか、新しい考え方を提示しつつ、透明であろうとしながらも、超越的な魅力を失うことはない。
OK-RM オリヴァー・ナイト (Oliver Knight) , ローリー・マクグラス(Rory McGrath):デザインの実践が持ちうる可能性をさらに広げることを目指して活動。二人にとってデザインとは、最も広い意味においてはコミュニケーションの手段であり、分野やメディアを横断して働きかける「行為」である。ロンドンを拠点に世界各地で活動するOK-RMは、姿勢や考え方が具体的なかたちへと転化する、その分岐点に立って制作を行っている。信念や手法、行動、時間、素材といった現実を問い直しながら、世界のなかで進歩的に活動し、他者と協働するとはどういうことかをあらためて考え、その姿勢はしばしば長期的な対話やコラボレーションへとつながっている。OK-RMの好奇心と繊細な視点をさらに広げる取り組みとして、2015年には、書籍という形式を通じて協働的な対話を深めるためのプラットフォーム「InOtherWords」を設立した。また、教育的なアプローチへの関心から、教育活動やレクチャー、展覧会など、さまざまな形での実践にも取り組んでいる。

タイプデザイン賞
昭和以前にあった文字の形に着目、アプリと連携するバリアブルフォント。
作品「百千鳥」
受賞者 (TD / Type Director) =西塚涼子, Frank Grießhammer
クライアント= アドビ

受賞コメント
2025年2月にリリースした『百千鳥(ももちどり)』は、バリアブルフォント技術により縦長・横長の形に自在に変化できる、日本語フォントとして画期的な存在です。1つのフォントファイルで、書体ファミリーに含まれる多様な太さやスタイルの連続するバリエーションを即座に利用できます。最先端の技術を駆使しながら、伝統的な日本語の趣を取り入れたオリジナルデザインに仕上げました。この度、東京TDCでタイプデザイン賞を受賞できたことを大変嬉しく思います。新しい技術と日本語書体の可能性を理解し評価してくださったことに心より感謝いたします。
西塚涼子 (Ryoko Nishizuka)
アドビ Adobe Type プリンシパルデザイナー。1995年、武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を卒業。在学中にタイプデザインに興味を持ち、卒業制作で作ったフォントが後の「かづらき」となる。1997年、アドビシステムズに入社し、小塚昌彦氏の指導の下、「小塚ファミリー」の開発に携わる。その後「りょう」「かづらき」「源ノ角ゴシック」「源ノ明朝」「貂明朝」など多数の書体を制作。2025年には、日本語初の縦横比可変バリアブルフォント「百千鳥」を発表。常に新しい技術を取り入れながら伝統的な表現を探求し、フォントの新しい可能性を追求している。「かづらき」の制作を機に書道を学び、雅号は星峰(せいほう)。
フランク・グリースハマー (Frank Grießhammer):1983年、ニュルンベルク生まれ。ドイツ・ザールブリュッケンのHBKsaarおよびイタリア・フィレンツェのISIAでグラフィックデザインを学び、2010年にデン・ハーグのKABK(王立美術アカデミー)におけるType & Media修士課程を修了した。ベルリンのFontShop Internationalでの勤務を経て、2011年にAdobe Type Teamに参加。彼の活動は、コーディングとタイプデザインの領域が交差する地点に位置しており、現在もヨーロッパ各地のタイプデザイン教育プログラムにおいて、コーディングおよびデザインに関するワークショップを定期的に指導している。

RGB賞
現代日本文学とアニメーションのコラボレーション企画「文学ビデオ」。
作品「落書」
受賞者 (TD / Type Director) = 折笠 良
クライアント= 早稲田大学 + UCLA連携 柳井イニシアティブ

受賞コメント
“陽光の最初の一閃が射し込み、浅い眠りの襞を静かに揺らすと、そこに一つの落書が
出現する。”
この作品は、早稲田大学とUCLAの共同連携事業である柳井イニシアティブによる
現代の日本文学とアニメーションのコラボレーション企画「文学ビデオ」の第二弾です。
高柳誠原作の「落書」を本人が朗読、滝野ますみが音楽を、折笠良がアニメーションを手がけました。
この賞を受賞できたことを、光栄に感じております。
東京TDCの皆様、選考委員の方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。
折笠 良 (Ryo Orikasa)
1986年生まれ。茨城大学教育学部、イメージフォーラム映像研究所、東京藝術大学大学院映像研究科で学ぶ。主な作品に《Scripta volant》(2011)、《水準原点》(2015)、《われわれの部屋》(2016)、《ことの次第》(2017)、《みじめな奇蹟》(2023)などがある。2025年、柳井イニシアティブの企画「文学ビデオ」第2弾として高柳誠の同名の詩を原作とする《落書》(2025)が完成。

特別賞
展覧会ポスター。
作品「Tsuguya Inoue Graphics +81展」
受賞者 (TD / Type Director) = 井上嗣也
クライアント= +81Gallery

受賞コメント
+81 GALLERYでの個展「Graphics」に出品した仕事。
2個のリンゴとギャラリー名の「8」と「1」の動き始めた数字を擬態展開した。
井上嗣也 (Tsuguya Inoue)
アートディレクター、グラフィックデザイナー。1947年生まれ。1978年ビーンズ設立。広告、音楽、出版、TVなどのアートディレクション。写真とタイポグラフィの斬新なデザインワークでジャンルを横断した仕事を続けている。受賞歴/東京ADCグランプリ、東京TDCグランプリ、原弘賞、日本宣伝賞山名賞、毎日デザイン賞他。出版物/井上嗣也作品集『GRAPHIC WORKS 1981-2007』、『GRAPHICS TALKING THE DRAGON』、『THE BURNING HEAVEN』、『Graphics』(リトルモア刊)。所属団体/東京ADC会員、東京TDC会員、JAGDA会員。

TDC賞
画面上を浮遊する粒子がテキスト状の構造物を形成するプログラム作品。
作品「cosmo-typesetting automaton」
受賞者 (TD / Type Director) = 畔上陽一
クライアント= Non Client

受賞コメント
画面上を浮遊する粒子が互いに接触し、あらかじめ定められた規則に従って結合する。粒子は結合を繰り返しながら次第に文字のかたちへと成長し、形成された文字はさらに語へ、語は文へと階層的に構造を構築していく。文字の形状や組版規則を粒子の結合規則としてプログラムすることで、散乱した状態から徐々にテキストのような秩序が立ち現れる仕組みである。その動作過程から視覚的に宇宙を想起したから、《cosmo-typesetting automaton》という標題を与えた。
活字の配列技術としてのタイポグラフィの基本原理は数値と規則の制御にあると考えている。その制御のシステムをプログラミングによって独自に拡張していくことで、タイポグラフィの本義であった効率性や合理性とはむしろ異なる文字のありようへと接近できないか。また、テキストが形成されていく過程そのものに美しさを見出すことはできないか。
畔上陽一 (Yoichi Azegami)
グラフィックデザイナー、エディトリアルデザイナー。2003年埼玉県さいたま市生まれ。2025年武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業。印刷物や画像をはじめとした受注制作、およびタイポグラフィや文字デザインを主題とした作品発表に取り組む。

TDC賞
風や儚いジェスチャーに影響される生きた有機体として表現されたアートフェアVI。
作品「Cosmoscow International Contemporary Art Fair」
受賞者 (TD / Type Director) = Oxana Paley, Jane Berezhna
クライアント= Cosmoscow

受賞コメント
 コスモスコウ・アートフェア (Cosmoscow International Contemporary Art Fair) のアイデンティティは、「時間を一時的に固定する」というジェスチャーを起点に構築されており、展示空間そのものが持つリハーサルのような性質や、編集的な在り方を反映している。このフェアは、長期間にわたる入念な準備を必要とする大規模なイベントであり、そのプロセスは完結することなく、常に流動的で柔軟に変化し続けている。ビジュアル・アイデンティティもまた意図的に未完成の状態に置かれ、フェアを進行中のプロセス、すなわち風や動き、一瞬のジェスチャーといった外的要素にさらされる生きた有機体として表現している。最終形を提示するのではなく、消え去る直前に残されたものを記録することが目的である。このアイデンティティは、時間の固定という行為を通して不安定さをそのまま可視化しており、動きや風の痕跡をとどめる写真や映像を基盤とした視覚言語によって、一過性のジェスチャーをCosmoscow独自のビジュアル表現へと昇華させている。
オクサナ・パレイ(Oxana Paley) とジェーン・ベレジナ(Jane Berezhna)は、グラフィックデザインスタジオOmskyを率いるデュオで、デジタルから物理的なメディアに至るまで、幅広いビジュアル・コミュニケーションの領域で活動している。彼女たちは、規模の大小を問わず、あらゆる課題は魅力的で意味のあるデザインの挑戦になり得ると考え、常に自らに新たな問いを投げかけながら表現の可能性を探っている。その制作は、好奇心と実験精神、そして既存の解決方法や視覚的な慣習を見直そうとする姿勢に支えられている。すべてのプロジェクトは、形やメディア、文脈をあらためて考え直す機会となり、なかでもマテリアリティは彼女たちの仕事において重要な役割を果たしている。二人は、デジタルではない実在の素材を好み、質感や粗さ、不完全さ、自然に生まれる影を、生きた視覚要素として積極的に取り入れている。

TDC賞
点と線、アナログとデジタル。生地から現れる縫い針の時計。
作品「Sasu 28」
受賞者 (TD / Type Director) = 勝本雄一朗
クライアント= Non Client

受賞コメント
 人は古来より、線によって字を書き、図を描いてきた。他方、コンピュータは点によって情報を提示する。この差異に着目した私は、2016年よりコンピュータで線状の物体を操作し、文字や図画を形成する実践を重ね、本作では「針」に注目した。漢字圏において、針は布を刺し、時を指す道具である。また針は、横から見れば線、先端から見れば点という二面性を持つ。本作は針の二面性を制御し、黒いニットの表面から28本の縫い針が現れては消え、点と線、アナログとデジタルのあいだを往還しながら、時間の経過を可視化する。
入賞の知らせを受けた瞬間、文字通り言葉が出ませんでした。審査員と事務局の皆様、日頃より活動を支えてくださる方々、そして文字で遊ぶ楽しさを教えてくれる妻に、深く感謝しています。
勝本雄一朗 (Yoichiro Katsumoto)
メディアアーティスト、東京電機大学理工学部教授。同大学で、うつろいの研究室を主宰。日常やプロトタイピングからの発見をもとに、技術と表現を問い直す装置を制作する。成果は国際会議ACM SIGGRAPH および SIGGRAPH Asia にて継続的に発表。主な受賞歴に Tokyo TDC 賞(2026)および受賞ノミネート(2018、2025)、A’ Design Award Platinum(2024)、文化庁メディア芸術祭優秀賞(2011)および奨励賞(2006)など。https://katsumotoy.com/

TDC賞
ダンスのジェスチャーから文字がどう現れるかを追求した実験映像。
作品「kinesics.regular」
受賞者 (TD / Type Director) = Jane Berezhna
クライアント= Non Client

受賞コメント
kinesics.regularは、コレオグラフィとタイポグラフィを融合させた試みとして、人間の身体の動きを基盤とする表現的な運動を通じて、感情を独自の方法で伝えるプロジェクトである。本プロジェクトの目的は、文字という持続可能なグラフィック要素が、人間の身体や精神が持つ感情的かつ運動的な性質をいかに獲得し得るかを探ることにある。即興ダンスは、人間の動きを文字のグラフィック形態へと翻訳するための手法として用いられ、動きを通して感情や感覚を自由に表現することを可能にする。この実験では、本来は無機的で静的な存在である文字が、人の動きや表情をまとい、生命を宿したかのように立ち上がる。文字は人間の身体的特性だけでなく、その内面の状態までも体現する存在へと変化する。即興ダンスがもたらす表現の自由は、文字が持つ固有性や形態の柔軟性を、動きを通じて可視化することを可能にしている。
ジェーン・ベレジナ(Jane Berezhna)
パフォーマンスとビジュアルアートの領域を横断して活動するグラフィックデザイナー/アーティスト。彼女の実践は、脆弱性や自己同一性、社会における可視性、そして身体・形態・記号のあいだで揺れ動く境界を主題としている。ジェスチャーや身体性、空間的関係性を通じて、人間の身体がいかに表現のメディアとなり得るのかを探りつつ、存在のあり方や主体性、見られ、聞かれることの条件を問い直している。

TDC賞
英国キングストン芸術大学MFA修了制作展のVI。
作品「immiscible」
受賞者 (TD / Type Director) = Yiyang Li
クライアント= Kingston School of Art, MFA Fine Art Department

受賞コメント
このビジュアル・アイデンティティ・システムは、ファインアート学位展のために制作されたもので、液体同士が混ざり合うことなく共存する状態を指す展示テーマ「immiscible」を反映している。展示情報は、3種類の異なる書体とカラーシステムによって明確に区別され、あらゆる媒体や空間において一貫して下部に配置されている。これらの多層的な背景は情報を収めるコンテナとして機能し、ファインアートの実践に共通する「Dimensions Variable(可変寸法)」という概念に呼応している。ポスター上部に意図的に設けられた余白によって、卒業生の作品が視覚的な主役として際立つ一方、下部の情報は、互いに混ざり合わずに同じ空間を共有する三つの液体のように、ひとつの物質的存在として扱われている。この構造は、単一のスタイルに収束することなく、多様な制作手法や視覚言語が併存する卒業制作展そのものを映し出している。こうした情報は異なる文脈の中で繰り返し現れ、そのたびに情報伝達や知覚、文脈の再構成のあり方を変化させ続けていく。
イーイャン・リー(Yiyang Li)
2000年生まれ。アイデンティティ、展覧会、出版物、ウェブサイト、タイポグラフィを横断して活動するマルチディシプリナリーなグラフィックデザイナーであり、ブランドや文化機関、アーティストとの協働にも積極的に取り組んでいる。2024年にUniversity of the Arts LondonにてGraphic Media Designの修士号(MA)を取得。彼の実践は、コンセプトを視覚化すること、そして視覚表現を概念として構築することの双方に焦点を当てている。これまでにTDC賞、Award 360° Gold Award、German Design Award、A’ Design Award、iF Design Award、GDC Award Gold Awardなどを受賞。UCCA Center for Contemporary Art、ギンザ・グラフィック・ギャラリー、上海のWest Bund Museumをはじめ、ロンドン、杭州、広州など各地で作品が展覧され、Another Graphic、Art & Design China、REDnote、Design 360°などの媒体にも紹介された。

TDC賞
少女たちの針仕事の練習成果の形式を応用した刺繍の原寸大カレンダー。
作品「Calendar (2025: Pulled Thread, 2024: Plaid, 2023: 3 Strands of Floss, 2022: Type Family)」
受賞者 (TD / Type Director) = 香本正樹, 佐藤友莉
クライアント= Non Client

受賞コメント
本作は、少女たちの刺繍の練習成果や技術見本として用いられてきた「サンプラー」の形式を、カレンダーに応用したシリーズで、手刺繍作品を原寸大で印刷することを前提としています。テキスタイルアーティストとグラフィックデザイナーの協働のあり方を探求しながら、毎年異なる技術的・視覚的な両分野のテーマを扱ってきました。2021年から制作を続ける中で、本シリーズが、私たちにとっても技術的なリサーチであり、実践の場であるという意味で、サンプラー本来の役割を担ってきたと思います。本年、このような評価をいただけたことを励みに感じるのと同時に、これまで数世紀にわたり受け継がれてきた一方で、タイポグラフィの領域においては主流として扱われにくかった刺繍の文字表現が、TDC賞の一端を担うことに大きな意義を感じています。
香本正樹(Masaki Komoto)
テキスタイルアーティスト。武蔵野美術大学工芸工業デザイン科金工専攻卒業。ヘリット・リートフェルト・アカデミー、VAV – moving image 科卒業。以後、刺繍を中心に、編み物やその他の手芸技法を独学にて研鑽し、作品制作を行う。個人制作の他、コラボレーションやコミッションワークも行っている。最近の活動に、展示「1826」(ユトレヒト、東京)(OMA、福岡)、「One Step Forward, Thank you」(代官山蔦屋書店)、オランダのデザイン誌『MacGuffin』第15号 –The Stitch– への刺繍作品の寄稿などがある。
佐藤友莉 (Yuri Sato):グラフィックデザイナー。2009年、上智大学文学部フランス文学科を卒業後、2020年にオランダのヘリット・リートフェルト・アカデミー、グラフィックデザイン学科を卒業。以降オランダ在住。フリーランスとして活動しながら、2023年より同アカデミーの活版印刷およびオフセット印刷の工房に勤務している。2025年、Roger Willemsとデザインを手がけた、Henri Jacobs『New Surface Research』(Roma Publications, 2024)が、The Best Book Design from all over the World 2025 栄誉賞(Stiftung Buchkunst, ドイツ)および、The Best Dutch Book Designs(オランダ)を受賞。

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ファイル概要:<東京 TDC 賞 2026> 受賞作品のご紹介

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開催概要

展覧会名TDC 2026(TOKYO TYPE DIRECTORS CLUB EXHIBITION 2026)
英語表記TOKYO TYPE DIRECTORS CLUB EXHIBITION 2026
会期
2026年4月3日(金)〜2026年5月16日(土)
会場 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
住所 104-0061 中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1 Google Map
時間
11:00〜19:00
休館日
日曜・祝日休館、4月29日、5月4日-6日休館
入場料
無料
TEL 03-3571-5206
URL
【ギンザ・グラフィック・ギャラリー|公式サイト】
https://www.dnpfcp.jp/foundation/
SNS

デザインフォーラム「TDCDAY2026」の開催

受賞者が受賞作品を語る「TDCDAY」。聞き役に選考委員を迎えての受賞者による密度の高いプレゼンテーション。質疑応答やコメント映像も加え、最新のデザインコンテンツをお届けします。日英同時通訳。時間・プログラム・お申し込みなど詳細は東京TDCのサイトをご覧ください。
https://tokyotypedirectorsclub.org/
日 時:2026年4月5日(日) 
入場料:2,000円(同時通訳会社専用アプリ使用料)
会 場:東京都現代美術館 BF「講堂」

授賞式
日 時:2026年4月3日(金)5:00pm 開式
展覧会オープニング(5:00-7:00pm)に合わせ、DNP銀座ビル2Fにおいて、東京TDC賞2026の授賞式を行います。

広報用画像一覧

  • 画像説明[ グランプリ ]
    Veronika Burian + José Scaglione「 Futura®100 Multiscript」 (CL. TypeTogether)
  • 画像説明[ グランプリ ]
    Veronika Burian + José Scaglione「 Futura®100 Multiscript」 (CL. TypeTogether)
  • 画像説明[ブックデザイン賞]
    OK-RM (Oliver Knight and Rory McGrath)
    「A Meaningful Order」(CL. InOtherWords)
  • 画像説明[ブックデザイン賞]
    OK-RM (Oliver Knight and Rory McGrath)
    「A Meaningful Order」(CL. InOtherWords)
  • 画像説明[ タイプデザイン賞]
    西塚涼子, Frank Grießhammer 「百千鳥」(CL. アドビ)
  • 画像説明[RGB 賞 ]
    折笠 良「落書」(CL. 早稲田大学 + UCLA 連携 柳井イニシアティブ )
  • 画像説明[RGB 賞 ]
    折笠 良「 落書」(CL. 早稲田大学 + UCLA 連携 柳井イニシアティブ )
  • 画像説明[RGB 賞 ]
    折笠 良「 落書」(CL. 早稲田大学 + UCLA 連携 柳井イニシアティブ )
  • 画像説明[特別賞]
    井上嗣也「 Tsuguya Inoue Graphics +81 展」(CL. +81Gallery)
  • 画像説明[TDC賞]
    畔上陽一 「 cosmo-typesetting automaton」(CL. Non Client)
  • 画像説明[TDC賞]
    畔上陽一 「 cosmo-typesetting automaton」(CL. Non Client)
  • 画像説明[TDC賞]
    Oxana Paley, Jane Berezhna「 Cosmoscow International
    Contemporary Art Fair」(CL. Cosmoscow)
  • 画像説明[TDC賞]
    勝本雄一朗「 Sasu 28」(CL. Non Client)
  • 画像説明[TDC賞]
    勝本雄一朗「 Sasu 28」(CL. Non Client)
  • 画像説明[TDC賞]
    Jane Berezhna「 kinesics.regular」(CL. Non Client)
  • 画像説明[TDC賞]
    Yiyang Li「 immiscible」(CL. Kingston School of
    Art, MFA Fine Art Department)
  • 画像説明[TDC賞]
    Yiyang Li「 immiscible」(CL. Kingston School of
    Art, MFA Fine Art Department)
  • 画像説明[TDC賞]
    Yiyang Li「 immiscible」(CL. Kingston School of
    Art, MFA Fine Art Department)
  • 画像説明[TDC賞]
    香本正樹, 佐藤友莉「 Calendar (2025: Pulled
    Thread, 2024: Plaid, 2023: 3 Strands of Floss, 2022: Type
    Family)」(CL. Non Client)
  • 画像説明[TDC賞]
    香本正樹, 佐藤友莉「 Calendar (2025: Pulled
    Thread, 2024: Plaid, 2023: 3 Strands of Floss, 2022: Type
    Family)」(CL. Non Client)
  • 画像説明[TDC賞]
    香本正樹, 佐藤友莉「 Calendar (2025: Pulled
    Thread, 2024: Plaid, 2023: 3 Strands of Floss, 2022: Type
    Family)」(CL. Non Client)

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