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ジャム・セッション
石橋財団コレクション × 山城知佳子 × 志賀理江子
漂 着
公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館(館長 石橋 寬)は、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」展を2025年10月11日(土)より開催します。「ジャム・セッション」は、石橋財団コレクションと現代のアーティストとの共演により、美術の新たな可能性を探るシリーズです。第6回目となる今回は、沖縄と東北という異なる土地に根ざし、歴史や記憶に向き合ってきた山城知佳子と志賀理江子を迎えます。
展覧会概要
公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館(東京都中央区、館長 石橋 寬)は、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」展を開催します。
「ジャム・セッション」は、石橋財団コレクションと現代のアーティストとの共演により、美術の新たな可能性を探るシリーズです。第6回目となる今回は、沖縄と東北という異なる土地に根ざし、歴史や記憶に向き合ってきた山城知佳子と志賀理江子を迎えます。
近年、社会構造の変化や災害を背景に、地域や文化のあいだに潜む断絶や、かつて共有されていた記憶の風化が顕在化しています。特に日本では、震災や戦争の記憶が薄れ、中心と周縁のあいだに見えにくい分断が広がりつつあります。本展は、そうした現代の状況を踏まえ、「中心と周縁」「土地と記憶」というテーマをあらためて見つめ直します。
また、情報が氾濫し事実の輪郭が曖昧になるポストトゥルース時代において、私たちはいかに過去と向き合うことができるのでしょうか。山城と志賀の表現は、記憶や歴史に身体的に向き合う実践であり、作品そのものが行為として訴えかける力を持っています。それは見る者の認識を揺さぶり、既存の物語や視点を問い直す契機となるでしょう。
ふたりのアーティストによる新作とコレクション作品との出会いを通じて、複雑で困難な現実に対するまなざしと、芸術の力を再考する場を創出します。
見どころ
1.ふたりの表現者がコレクションと対話する
山城知佳子と志賀理江子、世界のアートシーンで注目されるふたりの作家が、石橋財団コレクションから独自の視点で作品を選定。彼女たちの作品との組み合わせにより、既存の文脈を拡張し、コレクションの多層的な読み解きを促します。
2.「漂着」というタイトルが喚起する記憶と土地
本展のタイトル「漂着」には、偶然性と必然性、外部からの流入と内部の応答という二重の意味が宿っています。沖縄と東北、それぞれの地に自らを置き、土地に根差した歴史や人々の営みを基にしながら、創作を通して離れた場所や他者の記憶との新たな接続を生み続けてきたふたりの作家の軌跡と重なります。本展では、記憶、災害、移動、そして再生といったテーマが、コレクション作品と交差しながら空間全体で表現されます。展覧会の空間全体が、ひとつの「漂着地」として機能し、時間、場所、身体、記憶が交錯し、観る者の感覚と記憶にも波紋を広げるような体験を与えるでしょう。
3.両作家による新作を公開
山城知佳子と志賀理江子による本展のための新作を公開します。
山城は沖縄、パラオ、東京大空襲の記憶を映像で結び、語りや歌、祈りを交錯させて歴史の複層性を、映像インスタレーションとして編み上げます。これらは、バラック(即席のテント小屋)を舞台に、人々が集い、知識を共有し、やがて去っていくという構成の中で展開されます。個々の記憶が、土地や時代を超えて共鳴しあう空間が立ち上がります。
志賀は写真表現を土台とした物語を通して、東北、三陸世界における海から丘(陸)への物流の変化を「人間の作る道=人間社会のやり方」として捉えます。東日本大震災以後の復興開発でもゆらぎ続ける人間精神や社会、コミュニティの内実を、宮城県北部であらゆる意味に自在に使われる「なぬもかぬも」という言葉を起点に進歩史観やエネルギー信仰をあらゆる角度から批評的に捉えつつ、独自の物語によって紡ぎます。本展では、高さ約4メートルにおよぶ写真絵巻を空間全体に展開し、鑑賞者の身体感覚を巻き込む没入的な体験を生み出します。
両作家ともに、これまでの主題を深化させつつ、新たな展開を見せる意欲作であり、スケールの大きなインスタレーションによる強い視覚・聴覚体験と、深い思索を促す表現の力が本展の大きな見どころです。

©︎Ryudai Takano
ビデオアーティスト。1976年、沖縄県生まれ。
写真、ビデオ、パフォーマンスを駆使し、沖縄の歴史、政治、文化を視覚的に探求する。近年は、沖縄の問題をそこに留まらない普遍的な命題として捉え、東アジア地域の俯瞰された歴史や人々を題材に、アイデンティティ、生と死の境界、他者の記憶や経験の継承をテーマに制作・思考を続けている。近年の主な個展に、「Song of the Land」 (グルベンキアン・モダンアートセンター、リスボン、ポルトガル、2024–25年)、「ベラウの花」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川、2023年)、「リフレーミング」(東京都写真美術館、2021年)、「Chinbin Western」(ダンディー・コンテンポラリー・アーツ、ダンディー、イギリス、2021 年)など。
今後の展示予定
本展で発表される山城知佳子の新作が2026年1月下旬に、那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場(沖縄県那覇市久茂地3丁目26-27)にて、別の形で展示、上演される予定です
*本展の巡回ではありません。
那覇文化芸術劇場なはーと
2021年にオープンした那覇文化芸術劇場なはーとでは、舞台芸術に限らず幅広いジャンルのアーティストと新創作に取り組んでいます。「戦後」80年を迎える2025年度に、劇場空間を利用したインスタレーションとパフォーマンス上演を予定しています。
https://nahart.jp

写真家。1980年、愛知県生まれ。
2008年に宮城県に移住、その地に暮らす人々と出会いながら、人間社会と自然の関わり、何代にもわたる記憶といった題材をもとに制作を続ける。2011年の東日本大震災以降、高度経済成長のデジャヴュのような「復興」に圧倒された経験から、人間精神の根源へと遡ることを追求し、様々な作品に結実させている。主な個展に「ヒューマン・スプリング」(東京都写真美術館、2019年)、「ブラインドデート」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川、2017年)、「カナリア」(Foam写真美術館、アムステルダム、2013年)、「螺旋海岸」(せんだいメディアテーク、2012–13年)など。
今後の展示予定
本展で発表される志賀理江子の新作は2026年(秋冬予定)に、青森県立美術館での展覧会にて、別の形で出品される予定です。
*本展の巡回ではありません。
青森県立美術館
2006年7月13日の開館以来、青森県の豊かな自然や美術館に隣接する日本最大級の縄文集落跡・三内丸山 遺跡に埋蔵された縄文のエネルギーを糧に、既成の価値観を超えた多様性豊かな芸術を紹介しています。
https://www.aomori-museum.jp/
こちらの画像のご利用については、広報お問い合わせ先までご相談ください。
ジンジャー・ライリィ・マンドゥワラワラ《四人の射手》1994年
石橋財団アーティゾン美術館
© The Estate of Ginger Riley / Copyright Agency, Australia
開催概要
展覧会名 | ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着 |
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会期 |
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会場 | アーティゾン美術館 |
住所 | 104-0031 東京都中央区京橋1-7-2 Google Map |
展示室 | アーティゾン美術館 6・5階展示室 |
時間 |
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休館日 |
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観覧料 |
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主催 | 公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館 |
担当学芸員 | 内海潤也、杉本渚 |
関連プログラム 土曜講座
第1回「アーティスト・トーク 漂着展について」
講師:山城知佳子、志賀理江子 司会:内海潤也(本展担当学芸員)
日時:10月11日[土] 14:00–15:30(13:30 開場)
会場:アーティゾン美術館 3階 レクチャールーム
第2回 「喜納昌吉さんと集う」
講師:喜納昌吉(音楽家) 聞き手:安東嵩史(本展カタログ編集者)、山城知佳子
日時:10月25日[土] 18:30–20:00(18:00受付開始)
会場:アーティゾン美術館 6階 展示室
第3回 「著書『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』を軸に」
講師:宮本ゆき(デュポール大学宗教学科教授、デュポール人文学センター長) 聞き手:志賀理江子
日時:11月1日[土] 14:00–15:30(13:30開場)
会場:アーティゾン美術館 3階 レクチャールーム
第4回 「著書『地域社会はエネルギーとどう向き合ってきたのか』を軸に」
講師:茅野恒秀(法政大学社会学部教授) 聞き手:志賀理江子
日時:11月22日[土] 14:00–15:30(13:30開場)
会場:アーティゾン美術館 3階 レクチャールーム
第5回「パラオ、沖縄、東京、そして… —〈不可視化した世界/忘却した時〉をたぐりよせる—」
講師:森亜紀子(同志社大学〈奄美-沖縄-琉球〉研究センター研究員) モデレーター:金城さつき(沖縄国際大学非常勤講師) 聞き手:山城知佳子
日時:12月20日[土] 18:30–20:00(18:00受付開始)
会場: アーティゾン美術館 6階 展示室
*事前申込制
*詳細は当館ウェブサイトにてお知らせします。
https://www.artizon.museum/program
同時開催
石橋財団コレクション選
特集コーナー展示 安井曾太郎
安井曾太郎(1888–1955)は、フランス留学後の長い模索期を経て、デフォルメによって対象の本質を表現する独自のスタイルを確立しました。近年アーティゾン美術館が収蔵した《座像》(1929年)は、「安井様式」と呼ばれるそのスタイルを最初に世に示した重要作です。本展では《座像》に焦点をあて、滞欧期から最晩年へ続く安井の画業の変遷をご紹介します。
https://www.artpr.jp/artizon/selections-yasuisotaro2025
広報用画像一覧
山城知佳子、発表予定の新作より(タイトル未定) ⓒ Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
志賀理江子《褜がらみで生まれた》2025年 ©Lieko Shiga. Courtesy of the artist
山城知佳子、発表予定の新作より(タイトル未定) ⓒ Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
山城知佳子、発表予定の新作より(タイトル未定) ⓒ Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
山城知佳子、発表予定の新作より(タイトル未定) ⓒ Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
山城知佳子、発表予定の新作より(タイトル未定) ⓒ Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
山城知佳子、発表予定の新作より(タイトル未定) ⓒ Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
山城知佳子、発表予定の新作より(タイトル未定) ⓒ Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
志賀理江子《大五郎の逆さ舟》(部分)2025年 ©Lieko Shiga. Courtesy of the artist
志賀理江子《HUMAN HIGHWAY》2025年 ©Lieko Shiga. Courtesy of the artist
志賀理江子《行ってはいけない、戻ってこい》2025年 ©Lieko Shiga. Courtesy of the artist
志賀理江子《褜男》2025年 ©Lieko Shiga. Courtesy of the artist
志賀理江子《大五郎の逆さ舟》2025年 ©Lieko Shiga. Courtesy of the artist
アルベルト・ジャコメッティ《歩く人》石橋財団アーティゾン美術館
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